「成田国際空港・B滑走路北側延伸工事」建設現場(2009年春)の空撮! Part1 「16L側進入灯」付近
-成田国際空港・B滑走路-
「成田国際空港」の暫定平行滑走路(B滑走路)は、現在は2,180mです。この長さではジャンボジェットがなどの大型旅客機の離着陸が不可能なので320m北側に延伸し2,500mにする工事が行われています。
当初は南側に延伸する予定でしたが、用地の買収の目処が立たなかったため、北側への延伸に変更になりました。
工事は2006年9月に着工し、2010年3月末の供用開始を目指していましたが、「関係者の努力と天候に恵まれた」事により工事が想定より早く進み、予定より約5ヶ月前倒しの2009年10月22日から供用開始する事になりました。
これにより現在の年間発着回数20万回(B滑走路6.5万回)から22万回(B滑走路8.5万回)まで拡大出来るようになります。
更に、2,500mのB滑走路と4,000mのA滑走路の運用方法の効率化を図ることで、年間発着回数をさらに3万回増やして合計25万回にすることを目標としています。
滑走路の延伸は、滑走路を伸ばせばいいというものではありません。航空機が悪天候や夜間でも安全に着陸できるよう、滑走路末端から外側に延びる「アプローチ帯(滑走路までの経路を示す進入灯を設置するためのエリア)」を設けなければなりません。
実際、「成田国際空港」のA滑走路は4,000mですが、南側に「アプローチ帯」を設ける事が出来なかったため、南側(34L側)から着陸する場合は実質3250m部分しか滑走路として使用出来ません(GoogleマップやYahoo!地図情報の衛星写真を見ると滑走路のタイヤの跡でよく分かります)。
ちょっとオタッキーな話で申し訳ないですが、B滑走路の延伸部分の延長上に「ローカライザー」、「進入灯」、「VOR/DME」などが見えるので解説したいと思います。大きな空港にはほとんど設置されているので興味にある方は見てみてください。
◆ ローカライザー(localizer)
滑走路の延長上に滑走路と垂直に設置された横長のアンテナ装置です。着陸のため進入中の航空機に対し滑走路中心から左右のずれを電波によって示します。B滑走路北側延伸に伴い「ローカライザー」も北側に移設されました。
◆ 標準式進入灯(PALS:Precision Approach Light System)
精密進入で着陸しようとする航空機に、その最終進入の経路を示すための灯火です。飛行機が滑走路に向かってくる方向を示し、光が流れるように点滅し飛行機を誘導します。
B滑走路北側延伸に伴い「進入灯」も北側に移設されました。移設前は、北端が「東関東自動車道」まででしたが、南端が「東関東自動車道」の上を通過し、ほとんどの部分が「東関東自動車道」の北側に移設されました。2009年1月から稼働しています。
◆ VOR/DME(ヴォルデメもしくはボルデメと読みます)
「VOR(VHF Omnidirectional Range)」は、放射状に広がる方位信号を発信する地上無線局のことです。航空機がどの方向にいるかを知ることが出来ます。
「DME(Distance Measuring Equipment)」は、距離測定装置で、航空機と地上局との距離を測定する事が出来ます。多くの場合「VOR」と「DME」は併設されています。
B滑走路の「VOR/DME」は、「北総VOR/DME」という名称です。B滑走路北側延伸に伴い、移設前は、「東関東自動車道」のすぐ北側にありましたが、670m北側に移設されました。2008年10月から稼働しています。
ちなみに「成田国際空港」には、A滑走路北側にも「VOR/DME」があります。こちらは「成田VOR/DME」という名称です。1つの空港に2ヶ所の「VOR/DME」があるのは国内では、「成田国際空港」だけです。
詳しくは → 国土交通省・VOR/DME等の概要
詳しくは → 国土交通省・VOR/DME等配置図
延伸前のB滑走路です(航空写真を選択するとよく分かります)。
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