-新日本製鐵+住友金属工業-
昨日(2月3日)、「新日本製鐵(以下新日本製鉄)」と「住友金属工業」が経営統合をする方針を発表しました。
かつて世界で不動の首位だった「新日本製鉄」ですが、次々と企業買収することにより世界一となった「アルセロール・ミタル」、中国、韓国勢に猛烈に追い上げられています。
2009年の世界の粗鋼生産量では、複数の中国企業や韓国の「ポスコ」に抜かれ、順位を前年の2位から一気に6位に下げています。「住友金属工業」も23位に順位を下げています。
また巨大な内需を背景に急成長してきた中国では近年、政府主導で鉄鋼メーカーの統合再編が加速しています。中国は今後ますます統合を加速する予定です。
リーマンショックの直撃を受けた2009年の鋼生産量は、中国が5億6780万トン(世界シェア46.6%)、それに対して日本は8750万トンです。実に日本の6倍以上です。
中国内の統合再編が進むと複数の「アルセロール・ミタル」クラスの巨大メーカーが誕生する可能性すらあります。
2009年鉄鋼メーカー粗鋼生産量
(01) アルセロール・ミタル 7,320万トン
新日鉄+住金(2010年) 4,780万トン
(02) 河北鋼鉄集団(中国) 4,024万トン
(03) 宝鋼集団(中国) 3,887万トン
新日鉄+住金(2009年) 3,842万トン
(04) 武漢鋼鉄集団(中国) 3,034万トン
(05) ポスコ(韓国) 2,953万トン
(06) 新日本製鉄(日本) 2,761万トン
(07) 江蘇沙鋼集団(中国) 2,639万トン
(08) 山東鋼鉄集団(中国) 2,638万トン
(09) JFEスチール(日本) 2,628万トン
(10) タタ製鉄(インド) 2,190万トン
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(23) 住友金属工業(日本) 1,081万トン
(48) 神戸製鋼所(日本) 594万トン
ちなみに「アルセロール・ミタル」の本社はルクセンブルグです。「新日本製鉄」と「住友金属工業」の統合会社は2009年では世界4位相当ですが、2010年は業績がかなり回復しているので世界2位相当になるようです。
最近の国際的な資源価格の高騰も再編を後押しています。世界の鉄鉱石の供給の約7割を「資源メジャー」と呼ばれるブラジルの「ヴァーレ(旧リオドセ)」、英豪の「リオ・ティント」と「BHPビリトン」の3社が握っています。規模で劣れば、価格交渉で圧倒的に不利になります。
敵対的買収を警戒する「新日本製鉄」は、2005年に「住友金属工業、神戸製鋼所」と株式の相互持ち合いに踏み切りました。
私はいつか企業統合すると思っていました。「神戸製鋼所」にも声をかけたようですが、今回は統合に参加しないようです。
1970年に「八幡製鐵」と「富士製鐵」の合併により誕生した「新日本製鉄」ですが、組織内の融合に大変苦労しました。
その影響もあったのか企業統合には慎重でした。しかし世界の情勢が待ったなしだったのでしょうね。
「新日本製鉄」は、2009年8月17日に「丸の内パークビルディング」に本社を移転しています。以前は同じく三菱地所が所有している「新日鉄ビルヂング」に本社がありました。
「新日本製鉄」の本社がある「丸の内パークビルディング」です。