国土交通省 「成田国際空港」に3本目の滑走路整備を検討
-成田国際空港-
2014年5月17日(土)に日経新聞が1面で、東京オリンピック以降に「東京国際空港(羽田空港)」が5本目の滑走路、「成田国際空港」が3本目の滑走路の整備を検討していると報じました。
記事は、「羽田空港」について東京上空の飛行解禁案などより詳しく書いていましたが、今回は「成田国際空港」の方を特集してみたいと思います。
政府は、2030年までに外国人旅客を現在の3倍の3000万人に増やす目標を掲げています。空の玄関口となる成田国際空港には現在、「A滑走路(16R/34L) 4,000m×60m」と「B滑走路(16L/34R) 2,500m×60m」があります。
「成田国際空港」は、当面は誘導路の新設や航空管制の高度化で発着枠を増やします。それでも東京オリンピック以降は許容量が逼迫するので3本目の滑走路の増設を検討します。
● 既存のB滑走路の東側に新滑走路を整備
日経新聞の図面には、既存の「B滑走路」の東側に新滑走路が描かれています。「B滑走路」とは距離的にかなり接近しています。滑走路は滑走路間隔が狭い「クロースパラレル方式」になるようです。
並行滑走路は、「オープンパラレル方式(ICAOの規定では間隔1,525m以上)」では、並行滑走路への同時進入・出発を行うといった効率的な運用が可能です。
それより狭い「クロースパラレル方式」では、同時に離着陸は出来ませんが、一方の滑走路で着陸、もう一方の滑走路で離陸に備えて待機、などの運用が可能です。
成田国際空港に新たな「オープンパラレル方式」の新滑走路を建設するのは用地買収の点から到底不可能です。
滑走路間隔が狭い「クロースパラレル方式」になるのは当然ですが、「クロースパラレル方式」でも敷地東側でかなりの面積の用地買収が必要になります。
Googleマップの航空写真を見ても分かりますが、「ロサンゼルス国際空港」も「サンフランシスコ国際空港」もそれぞれ滑走路が4本ありますが、2本ずつの滑走路間隔が200mを少し超えるくらいしか離れていません。
滑走路間隔が非常に狭い「クロースパラレル方式」の滑走路を持つ国際空港は世界的に見ても決して珍しくはありません。
既存のC滑走路案は実質的に消滅?
成田国際空港には、横風用滑走路の「C滑走路(第3滑走路) 3,200m×60m」の整備計画が開港前からありました。
しかし、「C滑走路」の予定地の一部に空港反対派の所有地があるため、暫定的に誘導路や駐機スポットが次々と整備されています。
新たに滑走路として再整備を行う際は、誘導路や駐機スポットを撤去した上に、駐機スポットの代替地を確保する必要があります。
更に大幅に飛行コースが変更になるので、新たな騒音問題が発生します。運用的にも成田国際空港で横風により離着陸が中止になる事は極めて稀なので横風用滑走路の必要性はあまり高くありません。そのため既存のC滑走路案は実質的にほぼ消滅したと考えていいと思います。
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