長周期地震動対策で先行する新宿副都心 「新宿三井ビルディング」の長周期地震動対策
-新宿副都心の長周期地震動対策-
日本は世界でも稀なほどの地震国です。それまで安全と言われていた建築物やインフラも「阪神・淡路大震災」や「東日本大震災」で倒壊や損傷しました。絶対に安全といういう事は地震国の日本にもはや存在しない事を身をもって体験しました。
現在建設中の超高層ビルは、「制振構造(制震構造)」や「免震構造」をほぼ採用しています。
絶対に安全という訳ではありませんが、建物の損傷を少しでも少なくするためにはもはや必須となっています。
● 長周期地震動対策で先行する新宿副都心
最新の超高層ビルが「制震構造(制振構造)」や「免震構造」の採用により「長周期地震動対策」を施しているのに対して、新宿副都心の超高層ビル群は、多くが1970年代~1990年代に竣工したため「長周期地震動対策」がほとんど施されていません。
「BCP(事業継続計画)」に対するテナントのニーズの高まりにより、ビル間の競争やエリア間の競争が激しくなっています。
そこで、新宿副都心の超高層ビル群は、ビル所有者が独自の決断により「長周期地震動対策」を実施すようになりました。
すでに「新宿センタービル、新宿パークタワー、損保ジャパン本社ビル」の3棟は長周期地震動対策工事を実施済みです。「新宿三井ビルディング、東京都庁」も長周期地震動対策工事を実施中です。
「日経ケンブラッツ」によると、 ”西新宿地区にある約30棟の超高層ビルのうち実施が明らかになっているのは数棟だが、「ほかのビルも、ほとんど全てが検討はしているのではないか」という声もある。” だそうです。
日経ケンブラッツ(2014/08/05)
長周期地震動対策で先行する新宿副都心
新宿三井ビルディングの長周期地震動対策
三井不動産は、鹿島建設の施工により「新宿三井ビルディング」において、長周期地震動が発生した場合の揺れを大幅に低減させるため、超大型制震装置「TMD(チューンド・マス・ダンパー)」を屋上に設置中です。
引用資料 三井不動産・ニュースリリース(2013/07/29)
「新宿三井ビルディング」で長周期地震動の揺れを半減 日本初 屋上に超大型制震装置(約1,800t)を設置
「新宿三井ビルディング」屋上の棟屋の両側に、超大型制震装置TMD(D3SKY)×6基設置します。
振り子式の1基300トンの錘(すい)×6基設置し、錘(すい)が揺れることで建物の振動エネルギーを吸収して地震の揺れを大幅に抑制します。
更に、低層階コア部に高性能オイルダンパー(HiDAX-e)×48台設置し、建物の揺れに応じてダンパーのオイル流量を制御することにより地震の揺れを抑制します。
TMDとオイルダンパーの設置により、直下型地震から長周期地震動まで、地震の規模や特性にかかわらず制震効果を発揮します。
東日本大震災の長周期地震動に当てはめると揺れを半分以下に低減、揺れの時間も6分の1程度に抑えます。
「新宿三井ビルディング」の屋上にクレーンを設置しています。工期は2013年8月中旬~2015年4月末日の予定です。
屋上のクレーンで部材を吊り上げています。
敷地の西側に工事用の構台を設置しています。タワークレーンがありますが、私はこのタワークレーンがビル側面を最高部まで伸びるのかと思っていましたが、構台まで吊り上げる中継のクレーンだったようです。
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