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2021年2月11日 (木)

半導体生産で世界最強の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造)」 日本初となる本格的な開発拠点を茨城県つくば市に設立!

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-電子立国日本の自叙伝-

 今から約30年前、HNKスペシャル「電子立国日本の自叙伝(第1回は1991年1月27日放送)」が放送されました。「第1回 新・石器時代」、「第2回 トランジスタの誕生」、「第3回 石になった電気回路」、「第4回 電卓戦争」、「第5回 8ミリ角のコンピューター」、「第6回 ミクロン世界の技術大国」の全6回でした。

 正に「HNKスペシャル」という素晴らしい内容で、私の人生の中で一番素晴らしいテレビ番組と思っています。当時毎晩VTRで見返していたので、1回~第6回を延べ100回以上は見たと思います。元々半導体産業には興味がありましたが、この番組で私の半導体の知識が100倍以上になったと思います。

 第1回のオープニングの一部に、 ”日本が海外に輸出する電気製品の総額は約10兆500億円、自動車輸出に次ぐ稼ぎ頭である。これらエレクトロニクス製品のすべてに大量の半導体素子が使われている。日本が昨年生産した半導体素子は、トランジスタ単体やダイオードも含めれば約600億個、これは全世界の生産量の半分を超える量である。” という解説があります。

 当時いかに日本が半導体で世界を席巻していたか分かります。特に「DRAM」の強さは圧倒的で、向かうところ敵なしでした。しかし 1990年代中頃からアメリカの復活や韓国や台湾などの猛烈な追い上げがあり、今は見る影もありません。放送があった1991年には、日本の半導体産業がこんなに苦境に陥るとは夢にも思っていませんでした。

● 半導体材料と半導体製造装置は今でも強い 
 すっかり影が薄くなった日本の半導体産業ですが、「半導体材料」と「半導体製造装置」は今でも強いです。シリコンウェハーやフォトレジストなどの「半導体材料」に関しては世界一で、「半導体製造装置」もアメリカに次ぐ2位です。

 日本の「半導体製造装置」のメーカーは、前工程装置の「東京エレクトロン」、検査装置の「アドバンテスト、レーザーテック」、後工程装置の「ディスコ」が、2021年2月10日の終値時点で時価総額が1兆円を超えています。

 日本の半導体に関する2つの大きなニュースがありました。1つ目が半導体の受託生産で世界最大手の台湾の「TSMC」が茨城県つくば市に先端半導体の研究開発拠点を設立する方針であること、2つ目が半導体大手の「ルネサスエレクトロニクス」が、イギリスの「ダイアログ・セミコンダクター」の全株式を取得することで合意した事です。


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TSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造)」は2月9日、日本初となる本格的な開発拠点を茨城県つくば市に設立すると発表しました。

 半導体材料や半導体製造装置で強みを持つ日本勢と連携します。日本の半導体関連産業にとっても最先端の製造技術を持つ「TSMC」の進出メリットは大きいです。年内に全額出資子会社を設立します。投資額は186億円になる見込みです。

 「TSMC」は、2021年の設備投資計画を最大280億米ドル(1$=105円として約2兆9400億円)に設定し、前年実績から大幅に引き上げます。それに比べる投資額は186億円と「すずめの涙」ほどの金額ですが、「TSMC」が日本に進出する意味合いは非常に大きいです。

● 世界最強の半導体メーカーTSMC
 「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。

 「TSMC」がいかに凄い会社かというと、2021年2月10日の終値時点での時価総額は693,316,340千ドルです。1$=105円として約72.7兆円です。これは「トヨタ自動車」の約2.7倍です。

 半導体微細化技術で独走しており、世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。2022年には遥かに難度の高い3nmチップの生産に入る予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。

 世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。

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ルネサスエレクトロニクス

 すっかり影が薄くなった日本の半導体企業ですが、頑張っている企業もあります。NAND型フラッシュメモリーの「キオクシアホールディングス(旧:東芝メモリホールディングス)」、CMOSイメージセンサーの「ソニー」、車載用マイコンの「ルネサスエレクトロニクス」などです。

 「ルネサス エレクトロニクス」とイギリスのアナログ半導体会社「Dialog Semiconductor Plc」は2月8日、ルネサスがDialogを買収することで合意したと発表しました。

 ルネサスエレクトロニクス(2021/02/08)
 ルネサスがDialog社を買収し、 組み込みソリューションでのグローバルリーダーシップを強化

 「Dialog」は、パワーマネジメント、チャージング、AC/DCコンバータ、Wi-Fi、Bluetooth Low Energy(BLE)技術を提供する企業で、「ルネサス」がDialogの発行済普通株式と発行予定普通株式を1株当たり67.50ユーロですべて取得することで合意しています。買収総額は約49億ユーロ(約6157億円)に相当します。



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