時価総額約2兆円 新横浜に本社がある世界唯一のオンリーワン企業「レーザーテック」 2021年6月期の連結業績は驚異的な好決算!
-レーザーテック-
新横浜駅近くの神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目10-1に「レーザーテック」という会社があるのをご存知でしょうか? 「レーザーテック」は投資家から熱い視線を浴びていて、2021年8月13日終値時点の時価総額は1,924,385百万円と2兆円弱となっています。
半導体セクターは5Gインフラの本格化に加え、テレワーク市場の拡大に伴うデータセンター増設など構造的な需要拡大局面への移行が見込まれています。更に高集積化の流れが加速するなか、EUV(極端紫外線)技術を活用した露光装置の市場拡大も顕著です。「レーザーテック」は、EUV向けマスクブランクス検査装置を供給する世界唯一のオンリーワン企業として注目されています。
最先端半導体を量産するために「EUV露光装置」の製造ラインへ導入が本格化しています。7ナノ以降(5ナノや3ナノ)の線幅に対応するには「EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外線)露光装置」が必要です。
「EUV露光装置」の開発には、現在のところオランダの大手半導体製造装置メーカー「ASML」のみが成功しています。そのため「ASML」が市場シェア100%を獲得しています。しかし、「露光装置」だけでは半導体は製造出来ません。
● グローバルニッチ戦略
「レーザーテック」は、「グローバルニッチ戦略」を採用しています。グローバルニッチ市場とは、世界市場の中で高い技術力が必要ですが大企業が参入するほど市場は大きくなく、一方で中小企業には経験や技術の点で参入が極めて困難な市場です。
「レーザーテック」は、半導体製造装置の中でも「マスク」と「マスクブランクス」の検査装置に特化して、EUV向けマスクブランクス検査装置を供給する世界唯一のオンリーワン企業となっています。
● ジャイアントキリング(弱者が強者を倒す)
日本の投資家が「レーザーテック」に夢中にになるのは「ジャイアントキリング(弱者が強者を倒す)」を地で行くような会社だからです。「レーザーテック」の最大のライバルは、アメリカに本社を置く半導体検査装置メーカーで世界シェアNo.1の「KLA-Tencor(ケーエルエー・テンコール)」です。
遥かに巨大な「KLA-Tencor」が開発出来ていないEUV向けマスクブランクス検査装置を遥かに規模の小さな「レーザーテック」が開発に成功したのです。日本の投資家が応援したくなるのも当然です。
「KLA-Tencor」がEUV向けマスクブランクス検査装置に参入するのは時間の問題だと思います。ただ超高度な技術のためすぐには参入出来ません。それまでに「レーザーテック」は企業規模を大きくして、「KLA-Tencor」が参入しても資金力で対抗できる企業規模にしておく必要があります。
レーザーテック(Lasertec)
「レーザーテック」は日本の企業では珍しい6月決算を採用しています。2021年6月期(2020年7月1日~2021年6月30日)の連結決算では、売上高70,248百万円(前年比65.0%増)、営業利益26,074百万円(前年比73.1%増)となりました。
売上高が遂に700億円を突破しました。これは企業予想の620億円を大幅に上回り、アナリスト予想(コンセンサス)の667.65億円も上回るサプライズの好決算でした。
レーザーテック 決算短信(PDF:2021/08/06)
2021年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
● 2022年6月期の連結業績予想
2022年6月期の連結業績予想(2021年7月1日~2022年6月30日)は、売上高83,000百万円、営業利益27,000百万円と、売上高・営業利益共に過去最高の業績予想をしています。しかし、あまりにも保守的な予想だったので、空前の好決算にも関わらず、決算発表後に失望売りにより株価は下落しました。
ちなみにアナリスト予想(コンセンサス)では、売上高97,780百万円、営業利益36,566百万円と遥かに高い予想をしています。積み上がった「受注高・受注残高」などから推計すると、半導体市場に大きなの変調が無い限り、アナリスト予想(コンセンサス)に近い決算になると思われます。
レーザーテックの連結決算(売上高/営業利益)
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2002年6月 6,524百万円 1,271百万円
2003年6月 6,156百万円 1,005百万円)
2004年6月 7,504百万円 1,169百万円
2005年6月 9,972百万円 1,911百万円
2006年6月 12,033百万円 2,963百万円
2007年6月 15,874百万円 3,895百万円
2008年6月 14,136百万円 3,100百万円
2009年6月 9,266百万円 △657百万円
2010年6月 8,931百万円 746百万円
-----------------------------------------
2011年6月 12,722百万円 2,441百万円
2012年6月 12,337百万円 3,088百万円
2013年6月 11,397百万円 2,149百万円
2014年6月 13,607百万円 3,097百万円
2015年6月 15,187百万円 4,722百万円
2016年6月 15,291百万円 4,428百万円
2017年6月 17,369百万円 4,960百万円
2018年6月 21,252百万円 5,685百万円
2019年6月 28,769百万円 7,941百万円
2020年6月 42,572百万円 15,062百万円
-----------------------------------------
2021年6月 70,248百万円 26,074百万円
2022年6月期予想
2022年6月 83,000百万円 27,000百万円(会)
2022年6月 97,780百万円 36,566百万円(コ)
(備考) (会)は会社予想、(コ)はアナリスト予想(コンセンサス)です。
2022年6月期製品別予想
「2022年6月期 製品別予想(売上/受注/受注残)」です。アナリスト予想(コンセンサス)が会社予想より遥かに売上高を高く予想しているのは、「受注高・受注残高」が大きく積み上がっているためです。
引用資料 レーザーテック(PDF:2021/08/10)
2021年6月期 決算説明会資料
EUV関連装置
EUV関連の半導体製造装置は非常に高価で、「ASML」の「EUV露光装置」は1台が200億円を超えると言われています。「レーザーテック」の検査装置はそこまで高くありませんが、それでもかなり高価です。
「レーザーテック」は価格を非公表ですが、1台数億円から十数億円でと言われています。中でも高額なのが、EUVマスクプランクス欠陥検査装置「ABICS E120」が1台約40億円、EUVマスク欠陥検査装置「ACTIS A150」が1台推定50~80億円と言われています。
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