東京都 小笠原諸島 交通手段は約6日に1便の定期船のみ 父島に島民悲願の「空港建設」は実現するのか?
-小笠原諸島-
「小笠原諸島」は、東京のはるか1,000kmの南にある島々で、「聟島(むこじま)列島、父島列島、母島列島、火山列島(硫黄列島)」の4つに分かれており、全域が東京都小笠原村に属しています。そのため車のナンバープレートは「品川ナンバー」です。
大小30余の島々からなり、人が暮らしているのは「父島」と「母島」だけです。「小笠原村」の公式ホームページを見ると、2021年12月5日の朝時点で、総人口2,581人(父島2,122人、母島459人)、総世帯数1,506世帯となっています。父島の玄関口である二見港がある「大村地区」が、小笠原村の行政・経済の中心地となっています。
「小笠原諸島」の面積は、大小30余の島々を合計しても106.1平方キロメートルです。「足立区」の面積が53.25平方キロメートルなので、足立区の約2倍程です。しかし、日本の領土・領海を守る意味で「地政学上」非常に重要な場所に位置しています。
● 小笠原諸島への交通手段は船のみ
小笠原諸島の父島・母島には空港がなく、船でしか行くことができません。唯一の交通手段である「おがさわら丸」が東京竹芝桟橋から出航しています。しかし、約6日に1便の定期船なので行きたい日に行ける訳ではありません。更に、東京竹芝桟橋-父島二見港間は、片道約1,000kmで、約24時間もかかります。
2016年建造の3代目「おがさわら丸」は、総トン数約11,000トンの大型船ですが、台風や爆弾低気圧などで海が荒れる事が予想されると運行日が急に変更される事があります。だたし、欠航は極めて少ないようです。
私の大好きなYouTubeチャンネルに「しげ旅」があります。日本各地の離島を訪問しています。小笠原諸島を#01~#07の7回に分けてUPされています。これを見るだけで小笠原諸島に行った気分になれます。
YouTubeチャンネル しげ旅
小笠原諸島32歳ひとり旅。乗船すると最低6日間は帰れない。おがさわら丸で父島へ24時間の船旅【東京#01】
● 急患搬送
小笠原諸島父島の唯一の医療機関である「小笠原村診療所」で対応できない救急患者が発生した場合は、東京都を通して、「海上自衛隊」に患者の搬送を要請し、都内の病院へ搬送しています。
急患搬送は、日中の場合、海に離着水できる海上自衛隊の救難飛行艇(US-1、US-2)により搬送されますが、夜間の場合は、「硫黄島」の海上自衛隊のヘリにより患者を硫黄島に搬送し、2,650m×60mの滑走路を有する「硫黄島航空基地」からで内地に、海上自衛隊や海上保安庁の航空機で搬送されます。
空港建設は島民の悲願!
不便さが島の自然と独自の文化を守ってきたとも言えますが、重病の時、手遅れになる可能性も高いです。そのため「空港建設」は、島民の悲願ですが、過去に空港建設案が浮かんでは消えました。
1995年には空港の位置を「兄島」に決定し、1,800m滑走路を備える空港を建設し、「兄島」と「父島」の間にロープウェーを建設し、空港アクセスとする構想が持ち上がりましたが、貴重な自然環境を破壊するという意見が続出し、兄島案は撤回に追い込まれます。
1998年に父島南部の「時雨山」が、新たな空港予定地として決定しました。しかし、時雨山周辺は父島の水源であり、ここでも自然環境への影響が懸念され、撤回となりました。
2017年に開かれた航空路協議会では、「硫黄島活用案、水上航空機案、洲崎地区活用案」のうち、「州崎案」を優先的に検討することを決定しました。滑走路長は50人乗りのプロペラ機が離発着できる1,200m程度とする方向になりました。
引用資料 東京都・公式HP(PDF:2017/07/27)
第6回小笠原航空路協議会
しかし、1,200m滑走路を州崎地区に建設する場合、中山峠の切土や海域への突出が多大になることから滑走路を1,000mに短縮する案が公表されています。
「洲崎地区活用案における飛行の安全性の検証」です。父島洲崎地区に滑走路長1,200m、標高20mの飛行場を設定した時の検証ですが、現在の案は滑走路長1,000mに短縮されています。
空港建設が可能な場所は島のごく一部
「父島における世界自然遺産区域と自然公園法の規制」です。「父島」は、多くの場所が「世界自然遺産」の区域に指定されているため、空港建設が可能な区域が非常に限られます。
世界遺産区域(世界自然遺産)
「小笠原諸島」は、豊かで独特な自然の価値が認められ、2011年6月に世界自然遺産として登録されました。日本における世界自然遺産は他に、1993年の「屋久島」と「白神山地」、2005年の「知床」、2021年の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が登録されています。
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