海運大手3社の2022年3月期の連結業績 「日本郵船、商船三井、川崎汽船」の純利益2兆3603億円 「日本郵船」は純利益1兆円突破!
-海運大手3社-
日本の株式市場は、日経平均株価もTOPIX(東証株価指数)も全く冴えませんが、日本企業はそれとは反比例するように、世界経済がコロナ禍から立ち直るにつれて急回復しており好決算が続出しています(写真提供読者さん)。
私は、企業ヲタでもあるので1981年頃から40年以上企業の決算を見ていますが、今まで見た事の無い数字が続出しています。特に「日本郵船、商船三井、川崎汽船」の海運大手3社の2022年3月期の最終利益は、日本郵船1,009,105百万円、商船三井708,819百万円、川崎汽船642,424百万円と3社合計で2兆3603億円と空前の好決算となりました。
● 異常とも言える利益水準の高さ!
海運大手3社の異常とも言える利益水準の高さは、コンテナ船のスペース不足長期化による運賃高止まりが大きな要因です。海運大手3社の利益の多くは、コンテナ船事業統合会社「オーシャン ネットワーク エクスプレス」からもたらされています。
シンガポールに本社を置く「オーシャン ネットワーク エクスプレス」の2022年3月期の税引後損益は16,756百万米ドル(1ドル130円換算で2兆1782億円)を計上しています。海運大手3社は、出資に応じた投資利益を計上したことが大きかったです。
海運業界は構造的な不況業種でした。コンテナ船事業を切り離しての経営統合は、このままでは日本のコンテナ船事業が世界から取り残されるという危機感から行われました。
経営統合して競争力がアップしたところに空前のコンテナ船バブルがやってきました。「日本郵船、商船三井、川崎汽船」が別々にコンテナ船事業を行っていたらここまでの利益は望めなかったと思います。
2022年3月期の純利益(2021年4月1日~2022年3月31日)
(1) 日本郵船-1,009,105百万円(1兆91億円)
(2) 商船三井-708,819百万円(7,088億円)
(3) 川崎汽船-642,424百万円(6,424億円)
日本郵船(通期の純利益1兆91億円)
「日本郵船」は、2022年5月9日に「2022年3月期連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)」を発表しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,009,105百万円と日本の海運業界で初めて1兆円を突破しました。
日本郵船(PDF:2022/05/09)
2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)
◆ 売上高-2,280,775百万円(前期比+41.8%)
◆ 純利益-1,009,105百万円(前期比+624.8%)
(純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益)
商船三井(通期の純利益7,088億円)
「商船三井」は、2022年4月28日に「2022年3月期連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)」を発表しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、708,819百万円と7,000億円を突破しました。
商船三井(PDF:2022/04/28)
2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)
◆ 売上高-1,269,310百万円(前期比+28.0%)
◆ 純利益-708,819百万円(前期比+687.1%)
(純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益)
川崎汽船(通期の純利益6,424億円)
「川崎汽船」は、2022年5月9日に「2022年3月期連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)」を発表しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、642,424百万円と6,000億円を突破しました。
川崎汽船(PDF:2022/05/09)
2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)
◆ 売上高-756,983百万円(前期比+21.0%)
◆ 純利益-642,424百万円(前期比+491.0%)
(純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益)
オーシャン ネットワーク エクスプレス
「日本郵船、商船三井、川崎汽船」の海運大手3社は、コンテナ船事業を切り離し、経営統合して「オーシャン ネットワーク エクスプレス ホールディングス(Ocean Network Express Holdings,Ltd.)」を設立、2017年7月7日に発足し、2018年4月1日から営業を開始しています。出資比率は、「日本郵船38%、商船三井31%、川崎汽船31%」となっています。
「ONE」は英語名の頭文字をとった略称で、日の丸コンテナ船事業を一つにするとの意味があります。ちなみに事業運営会社である「オーシャン ネットワーク エクスプレス(Ocean Network Express Pte. Ltd.)」はシンガポールに本社を置いています。持株会社の本社は東京、事業運営会社の本社はシンガポールということです。
● 海運業界の世界ランキング
海運会社の経営規模の目安として、一般に通用しているのがコンテナ船積載量です。コンテナ船の積載能力やコンテナターミナルの貨物取扱数などを示す「TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個に相当)」という貨物容量の単位があります。
「日本郵船、商船三井、川崎汽船」に莫大な利益をもたらした「オーシャン ネットワーク エクスプレス」ですが、TEUに基づいた海運業界の世界ランキングでは、2021年時点で世界7位に過ぎません。
TEUに基づいた海運業界の世界ランキング
(1) MSCグループ(スイス)
(2) A.P.モラー・マースク(デンマーク)
(3) CMA CGM(フランス)
(4) COSCO(中国)
(5) エバーグリーン・マリン(台湾)
(6) ハパックロイド(ドイツ)
(7) オーシャン ネットワーク エクスプレス(日本)
(8) HMM(韓国:旧社名は現代商船)
(9) 陽明海運(台湾)
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