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2024年9月27日 (金)

JR中野駅前 地上62階、高さ約262mの「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」 工事費が900億円以上増加、計画自体の見直しも視野に!

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-NAKANOサンプラザシティ(仮称)-

 中野区では、「中野サンプラザ」と「中野区役所」を中心とする「中野駅新北口駅前エリア」における拠点施設整備の事業化推進のため、第一種市街地再開発事業の施行予定者となる民間事業者の募集・選定を行いました。審査委員会の審査結果を踏まえ、施行予定者候補及び次点候補を選定し、2021年1月29日に公表しました。

 「野村不動産」を代表とするグループ「(代表事業者)野村不動産、(共同事業者)東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本)」は、中野区とともに推進する「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業」において、2021年5月6日に中野区と基本協定書を締結しました。

 「(仮称)中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業」は、高さ約235m、延床面積約257,000㎡で計画されていましたが、高さ約262m、延床面積約298,000㎡に規模が拡大されました。

 中野区のJR中野駅北口にある「中野サンプラザ」が、2023年7月2日をもって閉館しました。「中野サンプラザ」は、1973年6月1日に開業しました。コンサートホールは、収容人員2,222人です。数々の人気アーティストが公演を開催し、都内でも有数の人気ホールでした。

 「野村不動産」を代表とするグループ「(代表事業者)野村不動産、(共同事業者)東急不動産、住友商事、ヒューリック、及びJR東日本」は、中野区とともに推進する「中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業」について、2023年11月15日付で、中野区より都市計画決定の告示がなされました。

 総事業費は2022年12月時点では2,250億円と試算されていました。しかし、建設資材費や人件費の高騰などにより、約250億円増加し、2,500億円以上となる見通しです。デザイン等が大幅に変更されています。

 引用資料 中野区議会・公式HP(PDF:2024/06/19)
 中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業の検討状況について

● 工事費が900億円以上増加、計画自体の見直しも視野に!
 「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」の2029年度中の完成が困難になっていることが分かりました。建設費の上ぶれが原因で、今年度に予定していた着工も見通しが立たなくなっていて、事業自体が見直される可能性も出てきました。

 朝日新聞(2024/09/25)
 中野サンプラザ跡61階ビル、完成延期に 建設費900億円上ぶれか

 総事業費は2,639億円と見込んでいました。ところが、2024年9月上旬に、施工者の「野村不動産」が人件費の高騰や物価高を理由に「工事費が900億円超増える」と伝えてきました。工事を請け負う「清水建設」が増額した見積もりを、野村不動産に出してきたという事です。

 中野区は年度内の着工と、2029年度末の完成を断念しました。中野区の担当者は「駅前の(閉館した)中野サンプラザは、できるだけ早く解体したいが、今のままの事業計画では進めない」とし、計画自体の見直しも視野に検討するとしています。

NAKANOサンプラザシティ(仮称)の概要
◆ 計画名-(仮称)中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業
◆ 所在地-東京都中野区中野四丁目1番、8番
◆ 交通-JR中央線・総武線・東京メトロ東西線「中野」駅から徒歩1分
◆ 階数-地上62階、塔屋2階、地下3階
◆ 高さ-最高部約262m、建築基準法の高さ約250m
◆ 敷地面積-約23,460㎡
◆ 建築面積-約18,800㎡
◆ 延床面積-約298,000㎡
◆ 容積対象面積-容積率約1,000%
◆ 地震対策-中間層免震構造(2層の免震層)

◆ 用途-オフィス、共同住宅、店舗、ホテル、ホール、駐車場など
◆ 総戸数-約1,100戸
◆ 施行予定者-(代表事業者)野村不動産、(共同事業者)東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本、(構成事業者・協力事業者)清水建設、日本郵政不動産、日本設計、電通、ジェイアール東日本ビルディング、野村不動産ホテルズ、野村不動産パートナーズ、東急コミュニティー、リージョンワークス合同会社
◆ 特定業務代行者-清水建設
◆ 解体-2024年度予定(当初計画)
◆ 着工-2025年度予定(当初計画)
◆ 竣工-2028年度予定(当初計画)
◆ 供用開始-2029年度予定(当初計画)
◆ 総事業費-2,639億円(900億円以上増加する見込み)


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工事を請け負う「清水建設」の事情
 「清水建設」の2024年3月期連結決算は営業損益が24,685百万円の赤字でした。上場以来、通期の営業赤字は初めてです。建築事業の完成工事利益率が大幅に悪化することが響きました。

 「清水建設」が得意としてきたオフィスビルなど建築工事が業績悪化を招きました。要因は「工事の大規模化」と「資材価格の高騰」です。大型案件は受注を逃がすと収益への影響が大きです。そのため大型案件は受注に注力しました。

 更に、2021年頃から資材価格の高騰が工事現場を襲いました。大型プロジェクトほど工期は長くなります。工期が長期化するほど、建設費は見積もりから乖離します。「清水建設」は、資材や人件費の高騰分の多くを負担する結果となりました。

 株主からも徹底的に追及され、安易な大型案件の受注は出来なくなりました。清水建設が「工事費が900億円超増える」と伝えてきたのも資材や人件費の高騰分を精査して、「赤字はもう絶対に出さない。それによって受注がキャンセルになっても仕方がない。」という経営判断でしょう。

スーパーゼネコン2024年3月期連結決算(売上高/営業利益)
1位 鹿島建設-2,665,175百万円(136,226百万円)
2位 大林組-2,325.162百万円(79,391百万円)
3位 清水建設-2,005,518百万円(△24,685百万円)
4位 大成建設-1,765,023百万円(26,480百万円)
5位 竹中工務店-1,612,400百万円(45,600百万円)

(備考)「竹中工務店」のみ2023年12月決算です。


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完成イメージです。メチャメチャ期待していた巨大プロジェクトだったのですが・・・

● 延床面積約30万㎡で、総事業費3,500億円超は採算に合わない!
 流石に延床面積約30万㎡規模で、総事業費3,500億円超(2,639億円+900億円以上増加)は、JR中野駅前では採算に合いません。東京都心でも厳しいと思います。

 ちなみに東京駅前の地上43階、塔屋1階、地下3階、高さ約227m、延床面積約389,290㎡の「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業施設建築物」は、総事業費約3,172億円です。


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2層の免震層

 地震対策として「中間層免震構造」を採用します。低層部と中層部の間に1層目の「免震層」、中層部と高層部の間に2層目の「免震層」を配置します。「2層の免震層」を配置する非常に珍しい超高層ビルです。


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「出会いの広場(1階)」のイメージです。


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「出会いの広場(3階)」のイメージです。


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「中野通り沿い」のイメージです。


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「アトリウム」のイメージです。


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「集いの広場」のイメージです。


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「屋上広場」のイメージです。


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「周辺地図」です。


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中野駅新北口駅前エリア
 中野駅新北口駅前エリアは、写真右側の「中野サンプラザ」と写真左側の「中野区役所」を中心とする大規模再開発計画です(写真提供読者さん)。


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「中野サンプラザ」です。再開発のために2023年7月2日をもって閉館しました(写真提供読者さん)。


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「旧:中野区役所」です。「中野区役所」は新庁舎を建設してました。新庁舎には、2024年5月7日に移転しました(写真提供読者さん)。



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