
-あべのハルカス近鉄本店-
タイミングが良いというか悪いというか? 昨日(10月6日)、「あべのハルカス」をUPしたその日に「近鉄百貨店」は「あべのハルカス」に入る百貨店の概要を発表しました。
近鉄百貨店・新着情報(PDF:2012/11/06)
「あべのハルカス近鉄本店」全体概要について
2013年6月にタワー館部分が先行開業し、名称を「あべのハルカス近鉄本店」に変更します。
そして2014年春にグランドオープンを迎えます。売場面積は、建て替え前の1.3倍になり、日本最大級の10万㎡になります。
百貨店は超高層棟の地上14階~地下2階に入る「タワー館」と、現在の本店の地上9階~地下2階に入る「ウイング館」に分かれます。
「タワー館」と「ウイング館」は、かなり階高が違うので、「ウイング館」の2階と3階の間に、3.5階を設け高さ調整しているようです。
売場面積は、10万㎡を予定しています。あの「阪急うめだ本店」でさえ、「6万㎡を超えると自店で品ぞろえするのは難しい」と言うくらい広い売り場を埋めるのは至難の業です。
そこで思い切った戦略を取ったようです。10万㎡の内訳は、百貨店60,000㎡(60%)+専門店40,000㎡(40%)となっています。
また非物販面積を25%も確保し、物販面積75,000㎡(75%)+非物販面積25,000㎡(25%)としました。
非物販面積の比率は、「阪急うめだ本店」の物販面積64,000㎡+非物販面積16,000㎡の20%より比率か高いです。
● あべのハルカスダイニング
タワー館の12~14階には、百貨店として日本最大級となる3層、約11,000㎡、42店舗、2800席のレストラン街「あべのハルカスダイニング」を設けます。
近鉄百貨店・新着情報(PDF:2012/11/06)
「あべのハルカス近鉄本店」日本最大級のレストラン街(2013年夏オープン)について

-「新館」は「ウイング館」に名称変更!-
新館の外壁の改修が行われているので、私は新館部分も2013年6月に先行開業に合わせると思っていましたが、予想が外れました。
詳しく読むと謎が解けました。新館の改修は外壁や内部の美装化だけではなく、建物の内部構造も一部変える大規模な改修工事である事が分かります。
新館の内部の改装はフロアごとに順次行うようですが、かなりの面積の売り場を閉鎖して行う事が予想されます。
改修が終わった部分から「ウイング館」として順次オープンするようです。そして2014年春にグランドオープンするようです。
★ 初年度の売上目標は1500億円
全面開業から1年間の初年度の売上高は、建て替え前の2007年度比10%増の1500億円を目指します。来店客数は2007年度比1.5倍の4500万人を目指します。
ただ2007年度はプチバブル状態、その後のリーマンショックによって百貨店の市場規模は大幅に縮小しています。
下記の2011年度の実績を見ると極めてハードルが高い目標です。「阪急うめだ本店」も「あべのハルカス近鉄本店」もこんな高い目標を発表して大丈夫? と心配してしまいます。
現在の経済状態では増床オープンしても市場は劇的には拡大しません。仮に「阪急うめだ本店」と「あべのハルカス近鉄本店」が目標達成したら、「阪急うめだ本店」が2011年度比+885億円、「あべのハルカス近鉄本店」が2011年度比+652億円となります。
885億円+652億円=1537億円増になります。大型百貨店数店舗分の売り上げが吹き飛ぶ計算になります。
明るい話題な時に、「ネガティブな事を書くな!」と怒られそうですが、売上に関してだけは、超現実的な思考しか私は出来ないのでゴメンナサイ・・・
2011年度近畿地区百貨店店舗別売上高ランキング
① 阪急うめだ本店 124,458(▲ 5.1%) 全国 5位
② 高島屋大阪店 117,890(+ 2.6%) 全国 7位
③ 阪神梅田本店 92,350(▲ 3.8%) 全国13位
④ 近鉄阿倍野本店 84,793(▲ 2.8%) 全国15位
⑤ 大丸心斎橋店 83,944(▲ 5.0%) 全国16位
⑥ 高島屋京都店 83,378(▲ 2.3%) 全国17位
⑦ 大丸神戸店 78,796(▲ 2.0%) 全国19位
⑧ 大丸京都店 68,486(▲ 1.1%) 全国21位
⑨ ジェイアール京都伊勢丹 64,587(+ 0.8%) 全国24位
⑩ 大丸梅田店 61,781(+65.7%) 全国25位
◆ 「あべのHoop」や「あべのand」はどうなる?
「近鉄百貨店阿倍野店本館」の建て替えに伴い、期間中は百貨店の売場が半減します。
そのため、2008年9月に南隣りに「あべのand」が開業すると「あべのHoop」の有力テナントが「あべのand」に移転しました。
そして玉突きのように「あべのHoop」の空いた部分に、近鉄百貨店や専門店街「ラ・セレナ」などの有力テナントが移転しました。
「あべのハルカス近鉄本店」の開業時には、有力テナントは元に戻ります。その後の「あべのHoop」や「あべのand」をどうするでしょうか?
”あべのハルカス近鉄本店グランドオープンに照準を合わせ、本年春からHoopの大規模改装に着手しました。” とは書いていますが・・・
「あべのハルカス近鉄本店」の売場面積があまりにも巨大なため、「あべのHoop」や「あべのand」の空いた売り場を埋めるのはかなり難しいと思います。「あべのハルカス近鉄本店」と差別化するために大幅な業態変更も考えられます。