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2015年5月29日 (金)

世界遺産「薬師寺」 「食堂(じきどう)」の再建工事に着手 落慶すると50年の歳月をかけた「白鳳伽藍復興事業」が完了!

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-薬師寺(やくしじ)-

 「薬師寺(やくしじ)」は、奈良県奈良市西ノ京町に所在する寺院です。ユネスコの世界遺産にも登録されています。

 「薬師寺」は今は非常に美しい大寺院ですが、20世紀半ばまでの薬師寺には、創建当時の伽藍をしのばせるものは焼け残った「東塔」だけでした。

 「薬師寺」は、寺院としては珍しく積極的に再建を進めています。国費など公費に頼ることなく、写経勧進による「白鳳伽藍復興事業」が1967年から開始され、「金堂、西塔、中門、回廊の一部、大講堂」などが次々と再建されました。

 薬師寺・公式HP → お写経

 1回の写経の単価は安いですが、「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」という故事ことわざがあります。「小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功します。
 この故事ことわざを今の私に懇々と聞かせたいです。まあ分かっていても実行しないので、今の私の体たらくがあるのですが・・・(涙)


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薬師寺の食堂再建

 「食堂」と書いて「じきどう」と読みます。「食堂(じきどう)」は、奈良時代前半に建てられ、973年に焼失しました。1005年に再建されましたが、室町時代までに再び焼失したとされています。

 「薬師寺」は、僧侶の食事や催事の場だった「食堂」の再建工事に着手しました。外観設計を「文化財保存計画協会」、内部設計を建築家の「伊東豊雄氏」、施工を「竹中工務店」がそれぞれ担当します。2015年3月21日と22日に起工式が行われ、2017年5月に落慶予定です。

 再建する食堂の大きさは東西約41m、南北約16m、高さ約14mです。当時と同じように300~400人を収容できる大きさにします。外観は発掘調査結果に基づき古代の建物を再現します。

 鉄骨造ですが、柱の周囲に木材を施して木造のような外観と内装に仕上げます。台風、地震、火災などからの文化財保護や建設費の観点から木造での再建はなかなか難しいようですね。

 「食堂」が予定通り2017年5月に落慶すると1967年から取り組んできた「白鳳伽藍復興事業」が50年の歳月を経て完了する事になります。正に執念ですね。


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薬師寺伽藍図

 「薬師寺伽藍図」です。「食堂(じきどう)」は、「大講堂」の北側で、「西僧坊」と「東僧坊」の間に再建されます。

 引用資料 薬師寺・公式HP → 薬師寺伽藍図 


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大規模な薬師寺の「白鳳伽藍」ですが、その多くが「白鳳伽藍復興事業」により再建されたものです。


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金堂(1976年再建)

 「金堂」は、1528年の戦火に巻きこまれ、西塔などと共に焼け落ちてしまいました。その後、豊臣家が金堂の仮堂を建て、その後本格的な金堂の再建に取りかかる筈でしたが、豊臣家滅亡などの事情で400年近く仮堂のままの状態でした。

 1967年に百万巻写経勧進による金堂再建を提唱され、1971年に起工式を行い、1976年4月に白鳳時代様式の本格的な金堂として復興しました。

 有名な国宝「薬師三尊像」の「薬師如来(やくしにょらい)、日光菩薩(にっこうぼさつ)、月光菩薩(がっこうぼさつ)」は、金堂に安置されています。
 私は、2008年春に「東京国立博物館」で開催された ”平城遷都1300年記念「国宝 薬師寺展」” で「日光菩薩、月光菩薩」の全体像を見ましたが、非常に美しく神々しくて涙が出そうになりました。


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西塔(1981年再建)

 「西塔」は、東塔と対称的な位置に建ちます。旧塔は1528年の戦火で焼失し、1981年に復興されました。

 東塔と比較すると、まずその鮮やかな色に目を奪われますが、またそれは奈良を表わす色使いです。
 「西塔」は、東塔より約30cm高くして再建されています。材木の撓みと基礎の沈下により、500年後には「西塔」も「東塔」と同じ高さに落ち着くと計算されているためです。


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中門(1984年再建)

 「中門」は、1984年に復興されました。


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回廊

 「中門」両側の「回廊」は、現在すでに第三期までが復興工事を完了しています。


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大講堂(2003年再建)

 「大講堂」は、2003年に復興されました。正面約41m、奥行約20m、高さは約17mあり伽藍最大の建造物です。大講堂が金堂より大きいのは古代伽藍の特徴です。


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東塔(解体修理中)

 国宝の「東塔」は、総高34.1m(相輪含む)です。薬師寺で唯一創建当時より現存している建物で、1300年の悠久の時を重ねてきた歴史をその姿から感じられます。

 薬師寺東塔は一見六重に見えますが、実は三重の塔です。これは各層に「裳階(もこし)」と言われる小さい屋根があるためで、この大小の屋根の重なりが律動的な美しさをかもし出しており、この塔はしばしば「凍れる音楽」と評されています。

 2009年より解体修理に着手しており、現在は覆屋に覆われておりその姿を拝むことは出来ません。2019年春に修理が完了する予定です。


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東院堂

 「東院堂」は、973年の火災で焼失しました。現在の建物は1285年に南向きで再建されましたが、1733年に西向きに変えられました。


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玄奘三蔵院伽藍

 「薬師寺」は広大で、「白鳳伽藍」から道路を挟んだ北側も境内となっています。1991年には、「玄奘三蔵院伽藍」が建立しました。

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