-大丸心斎橋店-
「J.フロント リテイリング」は、「大丸心斎橋店(本館、北館、南館)」を中心とする心斎橋地区再開発について検討を進めています。
7月18日にほぼすべての大手新聞社が、大丸心斎橋店の「本館」を建て替えを報道しました。報道は事実だったようで、「J.フロント リテイリング」は、7月24日に大丸心斎橋店の「本館」の建て替えを正式に発表しました。
J.フロント リテイリング(PDF:2015/07/.24)
株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸心斎橋店本館の建替え及びこれに伴う特別損失の計上に関するお知らせ
大丸心斎橋店の「本館」は、2015年12月30日で営業を終了します。「北館」と「南館」は、本館で展開している売場の移設を含め改装を実施し、営業を継続します。
歴史的な価値を持つ御堂筋側の外壁を残す方向で検討しています。新装オープンは2019年を計画し、建て替え費用は本館で300億円前後、南館の改装などを含め400億円前後に達する可能性があります。
大丸心斎橋店の売上高は、2015年2月期が84,511百万円、大丸心斎橋店の売場面積は77,490㎡(本館売場面積31,000㎡)となっています。
● 詳細が全く不明
非常に簡単な発表で、詳細が全く不明です。建て替え後の規模や完成イメージ等は発表されませんでした。階数は?、高さは?、百貨店中心になるのか? 専門店中心になるのか?
参考になるか分かりませんが、進行中の「J.フロント リテイリング」の再開発プロジェクト2件を下記に載せておきます。2件共に従来型の百貨店は復活しません。
● セブン・シスターズがすべて建て替えもしくは大改装
かつて、世界の石油を支配していた「国際石油資本(石油メジャー)」の7社は「セブン・シスターズ(Seven Sisters)」と呼ばれていました。私は、大阪市内の売場面積5万㎡以上の巨大百貨店を勝手に「セブン・シスターズ」と呼んでいました(笑)。
そのセブン・シスターズである「(1)阪急うめだ本店、(2)阪神梅田本店、(3)大丸梅田店、(4)JR大阪三越伊勢丹、(5)大丸心斎橋店、(6)高島屋大阪店、(7)あべのハルカス近鉄本店」のすべてが、建て替えもしくは建て替えに匹敵する大改装を行ったり、これから行う事になります。
激しい消耗戦で、「JR大阪三越伊勢丹」は競争から脱落しました。ただ、この凄まじい競争により、大阪の街が物凄いグレードアップしたのも事実です。この10年の激変ぶりには驚かされるばかりです。
大正モダン建築の大丸心斎橋店本館
「大丸心斎橋店本館」は、地上8階、地下2階、延床面積約46,462㎡です。アメリカ出身の建築家「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」の代表作の一つで、アールデコやネオ・ゴシック様式を織り交ぜた「大正モダン建築」として知られています。
1期が1922年、2期が1925年、3期が1933年と3期に分けて増築されました。1945年の大阪大空襲で上層階を焼失しましたが、その後、雰囲気を保ったまま修復・増築されました。
「大丸心斎橋店本館」を南西側から見た様子です。
(仮称)松坂屋上野店南館建替計画 新築工事
JR御徒町駅の西側で、「松坂屋上野店(マツザカヤ上野店)」を営業する「J・フロントリテイリング」は、松坂屋上野店の「南館」を建て替えて、子会社化した「パルコ」を入居する方針です。
計画名は「(仮称)松坂屋上野店南館建替計画 新築工事」で、地上23階、塔屋1階、地下2階、高さ約117m、延床面積約41,000㎡の超高層複合ビルに建て替えられます。
引用資料 J.フロント リテイリング(PDF:2013/08/26)
大丸松坂屋百貨店 松坂屋上野店南館の建替えについて
フロアは、地下1階が「大丸松坂屋百貨店食品フロア」、地上1階~6階が「パルコ」、地上7階~10階が「TOHOシネマズ」、地上12階~22階が賃貸オフィスになります。
(仮称)松坂屋上野店南館建替計画 新築工事の概要
◆ 所在地-東京都台東区上野三丁目137番の一部他
◆ 階数-地上23階、塔屋1階、地下2階
◆ 高さ-約117m
◆ 敷地面積-5,809.21㎡(駐車場ビル敷地他を含む)
◆ 建築面積-約2,400㎡
◆ 延床面積-約41,000㎡
◆ 構造-鉄骨造及び一部CFT造、地下鉄骨鉄筋コンクリート造
◆ 基礎工法-杭基礎
◆ 地震対策-制震構造
◆ 用途-(地下1階)大丸松坂屋百貨店食品フロア、(地上1階~6階)パルコ、(地上7階~10階)TOHOシネマズ、(地上12階~22階)賃貸オフィス
◆ 建築主-大丸松坂屋百貨店
◆ 設計者・監理者-三菱地所設計
◆ 施工者-竹中工務店
◆ 着工-2015年05月01日
◆ 竣工-2017年08月31日予定
◆ 新南館開業-2017年秋予定
◆ 総事業額-約200億円(本館改装他関連工事を含む)
銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業
「松坂屋銀座店」は2013年6月30日(日)で閉店しました。「松坂屋銀座店」を中心に合計17棟(合計延床面積約74,294㎡)は再開発のため解体されました。
「J.フロント リテイリング、森ビル、L Real Estate、住友商事」は、「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」を2014年4月2日に着工しました。
引用資料 銀座六丁目プロジェクト・公式HP
銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業
「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」は、商業施設やオフィスなどが入る地上13階、地下6階、延床面積147,856.38㎡の複合ビルとなる予定です。「銀座ルール」の厳しい高さ制限で超高層ビルにはなりませんでした。
商業施設は、海外の高級ブランド店など250から300のテナントを誘致しますが、従来型の百貨店「松坂屋銀座店」は復活しません。
銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業の概要
◆ 所在地 -東京都中央区銀座六丁目1-1他
◆ 階数-地上13階、地下6階
◆ 高さ-約66m(建築基準法上の高さ約56m)
◆ 敷地面積-9,077.49㎡
◆ 建築面積-8,921.03㎡
◆ 延床面積-147,856.38㎡
◆ 構造-鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
◆ 基礎工法-直接基礎
◆ 地震対策-制震構造
◆ 用途-店舗、オフィス、文化・交流施設、地域冷暖房施設、駐車場
◆ 建築主-銀座六丁目10地区市街地再開発組合
◆ 設計者-銀座六丁目地区市街地再開発計画設計共同体(鹿島建設、谷口建築設計研究所JV)
◆ 施工者-鹿島建設
◆ 着工-2014年04月02日
◆ 開業-2016年11月予定
◆ 総事業費-約830億円