「大丸心斎橋店」の本館建て替え 大阪市が都市計画原案縦覧を開始 本館の最高高さは65m、外壁を保存、道路の上空を使い北館と一体化!
-大丸心斎橋店-
「J.フロント リテイリング」は、「大丸心斎橋店(本館、北館、南館)」を中心とする心斎橋地区再開発について検討を進めています。
大丸心斎橋店の「本館」は、2015年12月30日で営業を終了します。「北館」と「南館」は、本館で展開している売場の移設を含め改装を実施し、営業を継続します。
「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」建築の歴史的文化的価値の継承を念頭におき、学識経験者で構成する「保存検討委員会」の検討結果がまとまりました。「J.フロント リテイリング」は、この結果を踏まえ、今後具体案を作成します。
引用資料 J.フロント リテイリング(PDF:2015/09/11)
大丸心斎橋店本館建替え計画に関する保存検討委員会の検討結果について
● 御堂筋側の外壁を保存
御堂筋の風格ある街並みを継承するため、歴史的価値の高い御堂筋側ブロックの外壁を保存します。今後は、保存対象部分の外装材料や躯体の健全性を確認しながら保存を実現するための技術的検討を行います。
新築部も保存部とのバランスを考慮し御堂筋沿道の景観として相応しいデザインとします。新築される高層部はセットバックさせ、保存外壁と景観的調和を図ります。ピーコック装飾も心斎橋筋側のファサードに再利用します。
内装の意匠を継承
内装については、昭和初期の百貨店建築として当時の商業文化を現代に伝える意匠的評価の高い1階を中心として継承する予定です。
今後は、塗装の改変や劣化の有無、現躯体から取り外しが可能かどうか等再調査を行い、再活用できる部材を抽出し、1階を中心として店舗内装環境において活用します。
大丸心斎橋店
「大丸心斎橋店」は、本館、北館、南館の3館で構成されています。「大丸心斎橋店」の売上高は、2015年2月期が約845億円(84,511百万円)、売場面積は77,490㎡(本館売場面積31,000㎡)となっています。
大丸心斎橋店本館
「大丸心斎橋店本館」は、地上8階、地下3階、延床面積約46,144㎡です。アメリカ出身の建築家「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」の代表作の一つで、アールデコやネオ・ゴシック様式を織り交ぜた「大正モダン建築」として知られています。塔屋が5層もあるんですね。知りませんでした。
大丸心斎橋店本館の概要
◆ 所在地-大阪府大阪市中央区心斎橋筋一丁目7-1
◆ 階数-地上8階、塔屋5階、地下3階
◆ 高さ-最高部SGL+約41m
◆ 敷地面積-約5,616㎡
◆ 建築面積-約5,317㎡
◆ 延床面積-約46,144㎡
◆ 構造-鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造
「大丸心斎橋店本館」を南西側から見た様子です。
本館の最高高さは65m
「建築物の高さの最高限度」です。大阪市は、「心斎橋筋一丁目地区」の都市計画原案縦覧を行っています。縦覧期間は、2015年9月29日(火)~2015年10月13日(火)までです。
引用資料 大阪市・公式HP(PDF:2015/09/29)
都市計画原案及び案の縦覧 心斎橋筋一丁目地区
本館の最高高さは65mです。最高高さ87mの北館よりも22m低いです。私的には超高層にならなくてホッとしています。超高層になると外壁を保存してもあまり意味がないと思っていたからです。
本館の御堂筋側の幅2mは最高限度31mで既存の外壁を残します。御堂筋側からの奥行2m~8mは最高限度45m、奥行8m以降を最高限度65mとします。
これなら御堂筋側から見てもあまり違和感のない外観になると思われます。建て替えにより、各階の階高が高くなると思われるので、御堂筋側の外壁の窓の位置と階数は一致しなくなると思われます。
北館と本館の一体化
「北館」と「本館」の間の配置図のアップです。「北館」と「本館」は、道路幅7.8m×東西幅43mで接続します。本館と北館の間の道路の上空5.5mをトンネルのように通過させ、高さ65mまでの道路上空を建物として使用します。
● 本館の階高を北館に合わせる?
あくまでも私の推測ですが、本館の階高を北館に合わせて「三越銀座店」のようにフロアを一体化すると思われます。三越銀座店は床面の高さが違う階もありますが、階数が同じなので売場は一体化しています。
「あべのハルカス近鉄本店」は、床面の高さを合わせている階もありますが、階数が違い、階高が大きく異なるので、「タワー館」と「ウイング館」のに売場の一体化が難しい状況になっています。
フロアの一体化は、2館をブリッジでつなぐよりはるかに有利な建物構造で、売場が分断されることなく一体的な運用が可能となりメリットが非常に大きいです。
「北館」と「本館」の間の断面図です。この規模で「北館」と「本館」を接続すると、もはや1つの建物と言っても過言ではありません。
私の妄想であった ①超高層化しない。②北館と一体化する。③本館の階高を高くする。④御堂筋側の外壁を保存する。 のすべてが実現しそなので、思わずガッツポーズです!
三越銀座店
二つのビルに挟まれる道路の上空を利用した例としては、「三越銀座店」があります。2010年9月11日の増床オープンから2つビルが一体的な運用になりましが、間の「あづま通り」の機能はこのように残っています。
2館に分かれる場合、多くの百貨店で採用されている2館をブリッジでつなぐよりはるかに有利な建物構造で、売場が分断されることなく一体的な運用が可能となりメリットが非常に大きいです。
厳密には、「三越銀座店」の例は、都市再生特別地区の指定を受け区道の「あづま通り」と三越の土地を等価交換しています。
そのため間を通る道路は三越の民有地になります。代わりに街区東側の「三原通り」を拡幅しています。路は1階と2階は道路として通り抜けられる空間を確保し、道路の上の3階以上はビルになるようです。
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