旧新歌舞伎座の「連続唐破風」のファサードを継承 「(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事」に建築計画のお知らせ掲示!
-(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事-
難波にあった旧「大阪新歌舞伎座」は、1958年10月開場しました。「上本町YUFURA」に移転するため、2009年6月に閉館しています。2012年3月には、冠婚葬祭大手の「ベルコ」が用地を取得しています。
「ベルコ」は既存建物の解体後にホテル(宴会場、レストラン、ラウンジ、客室、駐車場)、店舗などの機能を備えた複合施設「(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事」を建設する予定です。
「建設ニュース」に概要が載っていたので、「建築計画のお知らせ」が掲示されたと判断して見に行ってきました。
既存建物は解体工事が行われており、「労災保険関係成立表」によると解体工事の工期は、2015年1月5日~2016年1月31日(予定)となっています。京都市中京区に本社がある「HIRAYAMA」により解体工事が行われています。
● 旧新歌舞伎座のファサード(正面外観)を継承
予想通り「建築計画のお知らせ」が掲示されていました。概要は、地上19階、地下1階、高さ85.85mです。用途は、ホテル(宴会場、レストラン、ラウンジ、客室、駐車場)、店舗となっていました。
”結婚式場やホテル、ベルコの本社などの機能を備えた複合施設” と伝えられていましたが、建築計画のお知らせの「建築物の主要用途」を見る限り、「ベルコの本社などの機能」は入らないようです。
設計には「隈研吾建築都市設計事務所」を起用し、「旧新歌舞伎座」のファサード(正面外観)を建物東側に継承します。
「歌舞伎座」の意匠を活かしたと言えば、東京都中央区の「GINZA KABUKIZA(歌舞伎座タワー)」が有名ですが、こちらも設計者に「隈研吾建築都市設計事務所」が起用されています。今回の起用も「GINZA KABUKIZA(歌舞伎座タワー)」の実績が買われたのかも知れません。
(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事の概要
◆ 所在地-大阪府大阪市中央区難波四丁目59-1 外(地名地番)
◆ 階数-地上19階、地下1階
◆ 高さ-85.85m
◆ 敷地面積-2,292.65㎡
◆ 建築面積-1,893.46㎡
◆ 延床面積-26,490.90㎡(容積対象面積22,349.19㎡)
◆ 構造-鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
◆ 用途-ホテル(宴会場、レストラン、ラウンジ、客室、駐車場)、店舗
◆ 建築主-ベルコ
◆ 設計者-隈研吾建築都市設計事務所、鹿島建設
◆ 施工者-鹿島建設
◆ 解体工事-2015年01月05日~2016年01月31日予定
◆ 着工-2016年06月01日予定
◆ 竣工-2019年07月15日予定
南東側から見た様子です。
裏側の御堂筋の反対側には、小規模な飲食店が軒を連ねていますが、こちらも一部で解体工事が行われています。
北西側から見た様子です。「配置図」を見て、この部分は含まれない事が判明しました。
南西側から見た様子です。「配置図」を見て、この部分は含まれない事が判明しました。
週間の作業予定は「地下RC砕石埋戻し 地下 B1 B2 柱 梁 撤去」となっていました。前回見た時に「地下RC砕石埋戻し」を見て本体工事は「逆打ち工法」が採用される可能性が高いと予想しましたが、地下1階しかないので「逆打ち工法」のメリットがあまり無く、「順打ち工法」かも知れません。
「(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事」に建築計画のお知らせです。
文字が細くて、なおかつ薄かったので、数値部分を拡大して見ました。
「東立面図、北立面図」です。
なんば新歌舞伎座の外観上の特徴であった「連続唐破風(からはふ)」のファサード(正面外観)を継承しています。旧躯体の外壁を再利用するのか? 新たに構築するのか? は現時点では不明です。
「配置図」です。敷地の北西角と南西角は「(仮称)ベルコ難波ホテル 新築工事」に含まれません。
「位置図」です。大阪市の「建築計画のお知らせ」に位置図が表記されているのを初めて見ました。
GINZA KABUKIZA(歌舞伎座タワー)
4代目の歌舞伎座は、2010年4月末の興行終了後、新築工事のため解体されました。跡地には、地上29階、塔屋2階、地下4階、高さ(最高部145.50m、軒高137.50m)の超高層ビル「(仮称)KS計画新築工事」が建設されました。
唐破風(からはふ)の屋根をつけた劇場棟と高層オフィス棟で構成する複合ビルで、「五代目」の客席数は、4代目(1,859席)より座席を横3cm、前後6cm広くしたので、約50席少ない1808席です。
劇場後方の超高層オフィスビルの名称が「歌舞伎座タワー」、劇場の「歌舞伎座」と超高層オフィスビルを合わせた施設全体の総称が「GINZA KABUKIZA」となっています。
歌舞伎座タワー(GINZA KABUKIZA)の概要
◆ 計画名-(仮称)KS計画新築工事
◆ 所在地-東京都中央区銀座四丁目12番15号
◆ 階数-地上29階、塔屋2階、地下4階
◆ 建物高さ-最高部145.50m、軒高137.50m
◆ 敷地面積-6,995.85㎡
◆ 建築面積-5,905.62㎡
◆ 延床面積-93,530.40㎡
◆ 構造-(地上)鉄骨造、(地下)鉄骨鉄筋コンクリート造
◆ 基礎工法-直接基礎
◆ 地震対策-制震構造(メガトラス、オイルダンパー、アンボンドブレース)
◆ 用途-オフィス、劇場(1808席)、店舗
◆ 建築主-歌舞伎座(劇場部分)、KSキャピタル特定目的会社(オフィス部分)
◆ 設計者・監理者-三菱地所設計、隈研吾建築都市設計事務所
◆ 施工者-清水建設
◆ 着工-2010年10月01日(工事着手)、2010年10月28日(起工式)
◆ 竣工-2013年02月28日(工事完了)
◆ オープン-2013年04月02日(こけら落とし公演)
下層階の様子です。超高層オフィスビルの「歌舞伎座タワー」が約35m北側にセットバックしているので、南側は劇場だけの部分がかなり広いです。
手前の唐破風(からはふ)の屋根をつけた劇場棟の部分だけが、劇場の「歌舞伎座」のように見えますが、実際は「歌舞伎座」の舞台の真上に超高層ビルが載っています。
1階~4階までが舞台や客席などの柱のない巨大な無柱空間です。5階・6階の巨大な梁「メガトラス」で、超高層ビルを支えています。
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