うめきた(大阪)地下駅での挑戦 「JR西日本テクシア & ナブテスコ」の共同開発 あらゆる車種に対応できる世界初の方式となるホームドアの開発に着手!
-新型ホームドアの技術開発-
鉄道各社は、より安全に鉄道を利用してもらうために「可動式ホーム柵(ホームドア)」の設置工事を進めています。しかし、車両の長さ、ドアの数、ドアの位置などの相違や、設置コストなどの課題があり、それらに対応可能な新たなタイプのホームドアが開発されています。
新型ホームドアの技術開発は、各メーカーや鉄道会社が入り乱れて百花繚乱状態です。私は、ホームドア大好き人間なので、関東や関西の駅にホームドアが導入されたら出来るだけ見に行くようにしています。
● あらゆる車種に対応できるホームドアの開発に着手!
JR西日本は、2023年春に開業予定のうめきた(大阪)地下駅を「JR西日本技術ビジョン」の具体化に挑戦する駅と位置づけ、「『あなた』が笑顔になる駅」をコンセプトに検討を進めています。
うめきた(大阪)地下駅での実現を目指し、あらゆる車種に対応できる世界初の方式となるホームドアの開発に着手し、1次試作機が完成しました。今後、さらなる開発・検証を進めます。世界初の方式となるホームドアは、「JR西日本テクシア」と「ナブテスコ」の共同開発です。
引用資料 JR西日本(2019/11/20)
うめきた(大阪)地下駅での挑戦 ~世界初方式のホームドアの開発・検証を進めています~
うめきた(大阪)地下駅においては、2031年開業予定のなにわ筋線まで見据えると、入線車種が多様となることが想定されます。「南海電鉄」も乗り入れる計画なので、車両や編成で60以上の扉位置のパターンが想定されています。
現在JR西日本にて展開している「昇降式ホーム柵」や、各メーカーにて開発中の新型ホームドアでも対応が困難であるため、車種に応じて自在に開口を構成できるホームドアの構想・開発に着手しました。
「動作概要」です。図を見てもイマイチよく分かりません。こういうときには動画が一番です。動画を見ると動が実にスムーズです。ちょっと感動しました。「このアイデアを発想した方は凄い!」と尊敬します。
産経新聞 YouTube(1分54秒)
新型ホームドア試作機完成 JR西日本
● 最大のネックは設置コスト
最大のネックは設置コストです。 上部から吊り下げ式なので「うめきた(大阪)地下駅」などの地下駅以外では設置が難しいです。入線車種が多様となる特別な駅での採用に限られると思われます。
既存の地上駅には設置が難しい
◆ 動画を見ても分かりますが、ドアが左右にスライドするためにホームドア部分に柱を建てる事が出来ません。上部から吊り下げ式なので、ホーム屋根を大幅に強化して、ホーム屋根から吊り下げる必要があります。そのため、設置費用が莫大になります。
◆ 大型台風の上陸が頻発する日本で、猛烈な暴風雨に耐える必要があります。「フルスクリーンホームドア」は強風をもろに受け、強風による飛散物の衝突にも耐える必要があります。
◆ 構造と動きが複雑なので、故障の確率が高くなります。
安全センサー
ホームドアと乗降客の衝突、ホームドアと車両間の乗降客の取り残しについては、モーター過負荷検知機能および2Dセンサー、3Dセンサーを設置し、安全性を確保します。
昇降ロープ式ホーム柵(支柱伸縮型)
ホームドアの代わりにワイヤーロープを設置し、列車のドアが開く際にワイヤーロープを上昇させる方式のホーム柵です。これまでのホームドアとは異なり、車両のドアの位置や数が変わっても対応出来ます。開発主体は「JR西日本テクシア」です。
戸袋移動型ホーム柵
埼玉県所沢市の「新所沢駅」で実証実験が行われた「戸袋移動型ホーム柵」です。ホームドアは、乗降客の乗降時にドアが開閉する固定式が主流です。そのために車両の長さ、ドアの数、ドアの位置が異なる電車が混在すると導入出来ません。
これに対し、実証実験が行われた「戸袋移動型ホーム柵」は、電車の扉の位置にあわせて、ホームドアを収納する戸袋も一緒に移動するのが最大の特徴です。開発主体は「京三製作所、神戸製鋼所」です。
マルチドア対応ホームドア
「京浜急行電鉄」では、三菱重工グループの「三菱重工交通機器エンジニアリング」が開発を進めてきた「マルチドア対応ホームドア(どこでもドア)」の実証実験を京急久里浜線三浦海岸駅において実施しました。
「どこでもドア」は、これまで課題であった、ドア数やドア位置などが異なる車両が運行する路線に対応するホームドアとして開発を進めているもので、車両改修を必要とせず地上設備のみでホームドア開閉の連携が可能な「地上完結型連携システム」を採用しています。
フルスクリーンタイプ(フルハイトタイプ)
ホームドアのタイプは、大きく分けて2種類あります。一つ目が「フルスクリーンタイプ(フルハイトタイプ)」と呼ばれる天井近くまでスクリーンで覆われたもので、もう一つが「ハーフハイトタイプと呼ばれる高さ130cmのものです。
「フルハイトタイプ」が理想ですが、コストが非常に高い上に、天井近くまでスクリーンで覆うので新線や新駅の工事と同時に行わないと設置が難しいです。
日本では「可動式ホーム柵(ハーフハイトタイプ)」が主流になっています。転落防止効果が「フルスクリーンタイプ(フルハイトタイプ)」と比べて遜色ないうえ、設置が容易であり既存路線に展開しやすいためです。
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