航空法の高さ制限 Part2・高さ制限約130mの新大阪周辺に高さ約100mの超高層ビルしか存在しない理由
-新大阪周辺に高さ制限-
関西エアポート株式会社の「大阪国際(伊丹)空港高さ制限回答システム」というマウスをクリックするだけで瞬時に制限高(標高)を応えてくれる優れたアプリケーションソフトがあります。
「建築等可能高=制限高-照会地の地盤の高さ(標高)」です。照会地の地盤の高さ(標高)を調べると、何メートルまでのビルが建設可能か分かります。「水平表面」の高さ制限の45mが57m、「外側水平表面」の高さ制限の295mが307mとなっていますが、これは大阪国際空港(伊丹空港)の標点の海抜高の12mをプラスしているためです。
● 新大阪駅は制限高約130m
新大阪駅をクリックすると「制限高(海抜高):約130m」と表示されます。しかし、新大阪駅周辺には高さ約100m(ニッセイ新大阪ビルは最高部101.30m)の超高層ビルしかありません。何故でしょうか?
制限表面概略図
空港周辺の高さ制限には、各滑走路の前後に設定される(1)進入表面・(2)延長進入表面、各滑走路の周囲に設定される(3)転移表面、空港の「標点」からの距離で決定される(4)水平表面・(5)円錐表面・(6)外側水平表面があります。
引用資料 関西エアポート(PDF)
大阪国際空港周辺における物件の設置制限について
● より厳しい転移表面・進入表面・延長進入表面
国土交通省大阪航空局のホームページを見ると ”ただし、水平表面、円錐表面及び外側水平表面に係るもので「仮設物」、「避雷設備」または「地形又は既存物件との関係から航空機の飛行の安全を特に害さない物件」については、申請により大阪航空局長の承認を受ければ、当該制限表面の上に出て、これを設置することができます。” とあります。
国土交通省大阪航空局
空港周辺における建物等設置の制限
しかし、滑走路横の「転移表面」、離着陸コースとなる「進入表面・延長進入表面」は航空機の安全に直結するので高さ制限が非常に厳しく、「仮設物」も許されません。「仮設物」は当然「タワークレーン」も含みます。
新大阪駅上空
新大阪駅上空の航空機です。約300mの高さを飛行しています。遠くから見ると余裕がありそうですが、真下から見ると巨大な航空機が轟音で通り過ぎて行きます。
大阪国際(伊丹)空港飛行経路
「大阪国際(伊丹)空港 」へ着陸する航空機は、通常、大阪市・豊中市方面から滑走路に向かって直線に進入してきます。また風向きによっては、離着陸する方向がいつもと反対になる場合があります。逆向きコースの最近数年の発生率は年間3%前後です。
引用資料 関西エアポート
大阪国際空港を離着陸する航空機の飛行経路を教えて欲しい。
新大阪駅周辺は延長進入表面
紫の部分が「延長進入表面」です。新大阪駅周辺は完全に「延長進入表面」の範囲に入っています。 新大阪駅は制限高約130mですが、「延長進入表面」 は 、「仮設物」も約130m を超える事が許されないので、「タワークレーン」を含む高さが 約130m以内となります。
「マスト」が短いタワークレーンや「水平ジブ式タワークレーン」を使用すればもう少し高く出来ると思いますが、それでもせいぜいあと10mくらいだと思います。
引用資料 関西エアポート株式会
大阪国際(伊丹)空港高さ制限回答システム
うめきた2期は円錐表面
うめきた2期は「円錐表面」です。運良く紫色の「延長進入表面」から外れています。 うめきた2期がもし「延長進入表面」に入っていたらタワークレーンの高さを考慮すると高さ約150mの超高層ビルしか建設出来ませんでした。本当に良かったです。
イオン京橋店跡地は延長進入表面
イオン京橋店跡地は「制限高(海抜高):約232m」です。しかし、紫色の「延長進入表面」の範囲内なので、タワークレーンの高さを考慮すると高さ約200mが限界です。
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