大丸心斎橋店 本館 文化的価値が高い既存建物の外壁保存には「竹中工務店」の凄い技術が採用されていた!
-大丸心斎橋店 本館-
2019年9月20日に、「大丸心斎橋店 本館」はグランドオープンしました。「竹中工務店」は、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作として歴史的文化価値が高い大丸心斎橋店旧本館の既存外壁を、現位置に保存しながら内部に新本館を建設後、再び接続・保存活用するための外壁保存構法を新開発し、「大丸心斎橋店本館」の工事に初適用しました。
引用資料 竹中工務店(2020/04/01)
文化的価値が高い既存建物の外壁保存構法を開発し大丸心斎橋店本館に初適用
● 既存建物の外壁保存構法の開発と適用
保存外壁は、旧本館の柱梁と一体化した鉄筋コンクリート造の壁に、1~2階が「石」、3~5階が「タイル」、6階が「擬石」で仕上げられており、しなやかな鉄骨造の新本館と一体化するには、地震時などの外力による変形追従性能を向上させる必要があります。
開発した外壁保存構法は、保存外壁の背面に補強躯体を設けた上で、外観上目立たないように仕上げが切り替わる3階・6階レベルで保存外壁を水平切断し、切断部に「免震装置(弾性すべり支承)」を設けて新本館に接続させる機構です。これにより、地震時に保存外壁は、新本館の動きに合わせてスライドする機構としています。
大丸心斎橋店 本館の概要
◆ 計画名-大丸心斎橋店本館建替計画
◆ 所在地-大阪府大阪市中央区心斎橋筋一丁目7-1
◆ 交通-Osaka Metro御堂筋線「心斎橋」駅地下道直結
◆ 階数-地上11階、塔屋1階、地下3階
◆ 高さ-59.872m
◆ 敷地面積-10,755.72㎡(施設全体)
◆ 建築面積-5,631.51㎡(本館)
◆ 延床面積-66,367.87㎡(本館)
◆ 構造-(地下)鉄骨造、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート造、(地上)鉄骨造
◆ 用途-百貨店
◆ 建築主-大丸松坂屋百貨店
◆ 設計者-(基本設計/監修)日建設計、(実施設計)竹中工務店
◆ 監理者-竹中工務店
◆ 施工者-竹中工務店
◆ 解体工事-2016年02月15日~2016年12月31日
◆ 着工-2017年01月01日
◆ 竣工-2019年08月23日(竣工式)、2019年08月31日(竣工)
◆ 開業-2019年09月20日
◆ 投資額-約380億円(本館建築工事、本館内装工事)
「既存外壁補強概要(東西方向断面)」と「地震時の動き(概念図)」です。「新本館」は階高が高いので、既存の外壁7階が新本館では6階になっています。そのため既存の外壁と新本館の階数は一致していません。
仕上げが切り替わる3階と6階レベルで保存外壁を水平切断しています。新本館は地震対策として「制振構造」を採用しています。「保存外壁」はどのように地震に対応するのかな? 不思議に思っていました。新本館の動きに合わせてスライドする凄い技術が採用されており「目から鱗」でした。
6階レベル(階高が違うので保存外壁では7階レベル)で水平切断しています。
アップです。切断面がよく分かります。切断部に「免震装置(弾性すべり支承)」を設けて新本館に接続させる機構です。
「水晶塔」の付け根に切断面があります。
3階レベルで保存外壁を水平切断しています。
アップです。切断面がよく分かります。切断部に「免震装置(弾性すべり支承)」を設けて新本館に接続させる機構です。
工事中に撮影した保存外壁を支える鉄筋コンクリート造の「補強柱」です。
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