がんばれ! 次期基幹ロケット「H3ロケット」 メインエンジン「LE-9」の技術的課題への対応のため試験機初号機の打ち上げを1年延期
-H3ロケット-
私は軍事オタなので、関連する技術とも言える「ロケット」も大好きです。そのため種子島宇宙センターからの「H-ⅡAロケット」や「H-ⅡBロケット」の打ち上げの際には、「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」のネット中継が見られる時間帯であれば必ず見ます。
何度見ても大型ロケットの打ち上げシーンは、魂を揺さぶられます。特に大型の「H-ⅡBロケット」はド迫力で、TBSのテレビドラマ「下町ロケット」でも打ち上げシーンのモデルとなっていました。
現在の日本の基幹ロケットは、「H-ⅡAロケット」です。「こうのとり: HTV(宇宙ステーション補給機)」を打ち上げる時のみより打ち上げ能力がより高い「H-ⅡBロケット」を使用します。「H-ⅡBロケット」は、2020年5月21日に打ち上げられた最終号機「9号機」で、ミッションが完了しました。
「H-ⅡAロケット、H-ⅡBロケット」の後継機として「H3ロケット」が開発中です。「H3ロケット」は、「H-ⅡAロケット、H-ⅡBロケット」と比較して、打ち上げ費用の削減、静止軌道打ち上げ能力の増強、打ち上げ時の安全性の向上、年間打ち上げ可能回数の増加を同時に達成して、宇宙開発における日本の自立性確保と同時に、商業受注で国際競争力のあるロケットを実現させるために開発しています。
引用資料 JAXA(宇宙航空研究開発機構)
H3ロケットとは
「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」と「三菱重工業」との共同開発ですが、打ち上げ費用の削減のため、日本では初めて、機体の設計・開発段階から民間企業の「三菱重工業」が主体的役割を果たしています。
● H3ロケットの打ち上げを1年延期
「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」は、当初2020年度の打上げを目指していた次期基幹ロケット「H3ロケット」の試験機初号機について、新型のメインエンジンの設計の一部を変更する必要があるなどとして、打ち上げの時期を1年延期して2021年度にすると発表しました。
JAXA プレスリリース(2020/09/11)
H3ロケットの開発計画の見直しについて
「JAXA」によると開発中のメインエンジン「LE-9」の試験で、燃焼室と呼ばれる部分で、長さ1cmほどの割れ目が14か所見つかったほか、燃料を送り込むターボポンプと呼ばれる機器の内部でも、ひびが入っていることが確認されたということです。そのためめ設計の一部を変更する必要があるなどとしています。
私的になかなりショックなニュースでしたが、新しい技術への挑戦ではこのような出来事はよく起こります。世界の最先端を走るアメリカの民間宇宙ベンチャー「スペースX」も数々の失敗の上に、目標ゾーンに垂直着陸できる再利用可能なロケットという驚異的な技術を確立しました。
開発中のLE-9エンジン
「LE-9エンジン」は、「H3ロケット」の1段エンジンとして新しく開発しています。エンジン全体のパーツ数を大幅に減らして開発コストを下げる一方で、これまで日本が開発してきた液体ロケットエンジンに比べて、より大推力を発生させるエンジンです。
真空中推力は、既存の「LE-7Aエンジン」が1,100kN(112tonf)、開発中の「LE-9エンジン」が1,471kN (150tonf)となっています。単純計算で、1,471kN ÷1,100kN=1.33倍となります。
H3ロケット
主要諸元は、「H3ロケット標準型(H3-24L)」で、 全長63m、コア機体直径5.2m、全備質量574トンです。ちなみにこれまで日本最大だった「H-ⅡBロケット」は、全長56.6m、コア機体直径5.2m(第1段コア)、全備質量531トンでした。
過去最大のパワーと多様な機体形態
「H3ロケット」は、2種類の「フェアリング」、第1段エンジン「LE-9」を2基または3基、固体ロケットブースタ「SRB-3」を0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでの「H-ⅡAロケット、H-ⅡBロケット」の能力を上回る過去最大に設定しています。
● 型名の見分け方
例えば、「H3ロケット標準型(H3-24L)」の場合、最初の「H3」が「H3ロケット」、次の「2」が第1段エンジン「LE-9」の基数の2基、次の「4」が固体ロケットブースタ「SRB-3」の本数の4本、最後の「L」が「フェアリング」のタイプ「ショート(S)、 ロング(L)」の「ロング(L)」です。
国産大型液体ロケットのあゆみ
国産大型液体ロケットは、1975年初飛行の「N-1ロケット」の開発から始まりました。「N-1ロケット」と「N-Ⅱロケット」は着実に打ち上げ実績を重ねましたが、海外からの技術導入だったため、トラブルが発生しても日本だけで原因究明できないなどの問題がありました。
「H-Ⅰロケット」に続いて開発され、1994年初飛行「H-Ⅱロケット」は、「衛星フェアリング、機体構造、第1段エンジン」に至るすべてを国産とした純国産ロケットとなりました。 このようにして日本は独自のロケット開発技術を保有するに至りました。
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