電子立国の復活に向けて 経済産業省 先端半導体製造技術の開発企業として京都から「SCREENセミコンダクターソリューションズ」を選択!
-半導体材料と半導体製造装置は今でも強い-
すっかり影が薄くなった日本の半導体産業ですが、「半導体材料」と「半導体製造装置」は今でも強いです。シリコンウェハーやフォトレジストなどの「半導体材料」に関しては世界一で、「半導体製造装置」もアメリカに次ぐ2位です。
日本の「半導体製造装置」のメーカーは、前工程装置の「東京エレクトロン」、検査装置の「アドバンテスト、レーザーテック」、後工程装置の「ディスコ」が、2021年3月25日の終値時点で時価総額が1兆円を超えています。
● 済産業省が先端半導体製造技術の開発企業を選択!
キヤノンなど3社と産業技術総合研究所が次世代半導体の開発で連携します。経済産業省も自前の基金から約420億円を投じて研究開発を支援します。「TSMC(台湾積体電路製造)」など海外勢とも協力体制を築き、後れを取ってきた最先端の半導体の開発で巻き返しを図ります。
日本経済新聞(2021/03/23)
キヤノンなど先端半導体で連携 経産省、420億円支援
「キヤノン、東京エレクトロン、SCREENセミコンダクターソリューションズ」の3社が産業技術総合研究所と協力します。台湾のTSMCやアメリカのインテルなどの海外半導体メーカーとも広く意見交換をしながら進めます。
半導体は回路の微細化で性能が高まります。経済産業省の支援事業では、幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以降の次世代半導体の製造技術を2020年代半ばに確立することを目指します。試験用のラインを設けて、微細回路の加工や洗浄などの製造技術を開発します。
ルネサスエレクトロニクスの工場火災で自動車サプライチェーンへの影響が懸念されるなどで足元の供給もおぼつかない状態です。経済産業省は半導体供給網の強じん化や先端半導体の支援方針などを巡り、検討会を設けて戦略を練り直す方針です。
● 3社の担当分野は?
あくまでも私の予想ですが、キヤノンが「露光装置」、東京エレクトロンが「コータ・デベロッパ、エッチング装置、その他」、SCREENセミコンダクターソリューションズが「半導体洗浄装置」の開発を担当すると思われます。
SCREENセミコンダクターソリューションズ
半導体製造装置を製造する「SCREENセミコンダクターソリューションズ」の本社は、京都市上京区天神北町四丁目にあります。親会社である持株会社は「SCREENホールディングス(旧:大日本スクリーン製造)」です。
「半導体洗浄装置」で、グローバルシェア45%となっています。2020年3月期では、薬液で半導体用シリコンウエハーを洗浄する「枚葉(まいよう)式洗浄装置」が45%、「バッチ式洗浄装置」が71%、ブラシで洗浄する「スピンスクラバー」が76%と、それぞれ世界ナンバーワンシェアを誇っています。
世界最強の半導体メーカーTSMC
半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、2021年の設備投資計画を最大280億米ドル(1$=109円として約3兆520億円)に設定し、前年実績から大幅に引き上げます。
「TSMC(台湾積体電路製造)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。
「TSMC」がいかに凄い会社かというと、2021年3月25日の終値時点での時価総額は573,268,841千ドルです。1$=109円として約62.5兆円です。「トヨタ自動車」は約26.6兆円なのでの約2.3倍です。
半導体微細化技術で独走しており、世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。2022年には遥かに難度の高い3nmチップの生産に入る予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。
世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。
EUV露光装置シェア100%のASML
「半導体製造装置」で一番重要な役割を果たすのが「露光装置」です。過去には「ニコン、キヤノン」の日本の装置メーカーが圧倒的な存在感を誇っていましたが、徐々にオランダの「ASML」に抜かれ、現在では全く歯が立ちません。最先端の半導体回路の微細化で欠かせない「極端紫外線(EUV)露光装置」は、「ASML」が世界シェア100%です。
「ASML」の存在がしないと「TSMC」も世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産が不可能です。正に世界最強の半導体製造装置メーカーと言っても過言ではありません。
「ASMLホールディング」がいかに凄い会社かというと、2021年3月25日の終値時点での時価総額は241,582,846千ドルです。1$=109円として約26.3兆円です。これは「トヨタ自動車」とほぼ同じです。
● 日本メーカーのEUV露光装置への参入は?
「EUV露光装置」は、超の上に超がつく高度な技術なため、最先端の「EUV露光装置」は1台当たり価格が、200億円を超えると言われています。ビックリするよう目の飛び出るような価格です。
「EUV露光装置」は、世界で「ASML」しか生産していません。世界で1社のみというのはあまりにもリスクが高いです。一部のメーカーに集中するとリスクが高い事は、今回の自動車業界での半導体不足で思い知らされました。
「キヤノン」は露光装置として「ナノインプリント」を手掛けていますが、「ナノインプリント」では幅2ナノは無理なので、「EUV露光装置」の開発に着手して欲しいと私は願っています。経済産業省が支援する今回が参入する最後のチャンスだと思います。
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