設備投資は総額で1兆円規模 キオクシア(旧:東芝メモリ) 四日市工場に最先端(第6世代)の「第7製造棟(Y7棟)」を建設中!
-キオクシア(旧:東芝メモリ)-
すっかり影が薄くなった日本の半導体産業ですが、頑張っている企業もあります。NAND型フラッシュメモリーの「キオクシアホールディングス(旧:東芝メモリホールディングス)」、CMOSイメージセンサーの「ソニーグループ」、車載用マイコンの「ルネサスエレクトロニクス」などです。
「キオクシアホールディングス」は、NAND型フラッシュメモリーを生産する四日市工場の新製造棟建設のための土地の造成工事を2020年5月27日に着手しました。2021年2月25日には、3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の生産能力の増強を目的とした「第7製造棟(Y7棟)」の起工式を行いました。
キオクシア(2021/02/25)
四日市工場にて第6世代3次元フラッシュメモリの生産にも対応する新製造棟(Y7棟)の建設を開始
「第7製造棟(Y7棟)」は、2期に分けて建設し、市場ニーズに応じて最先端フラッシュメモリ製品を柔軟に生産・出荷する体制を確立します。建屋面積は合計で約4万㎡(1期は約2万㎡)と「キオクシアホールディングス」の工場棟では最大の規模になります。
地震の揺れを吸収する「免震構造」を採用するとともに、最新の省エネ製造設備を導入するなど環境面にも配慮した工場となる予定です。設備投資は総額で1兆円規模になる見通しで、第1期分の竣工は、2022年春の予定です。
「キオクシア」とアメリカの「ウエスタンデジタル」は20年にわたるパートナーシップを継続し、製造棟の運営で協力し、「第7製造棟(Y7棟)」においても第6世代3次元フラッシュメモリ向け等の共同投資を今後進める予定です。
「キオクシア」は、岩手県北上市の「北上工場」に隣接する約13.6万㎡の工場用地も取得しています。2021年春に土地の造成工事を開始し、2022年春メドに完了させます。今後の需要増に合わせて機動的な増産投資ができる体制を整えています。
● NAND型フラッシュメモリーは積層数競争!
「NAND型フラッシュメモリー」は、水平方向への微細技術が限界に達したため、メモリセルアレイを縦方向に積層する積層数の競争になっています。層層数がそのまま容量の大きさにつながることもあり各社が層数の多さを競っています。
新工場で製造する第6世代の「162層」の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリーは、既存の「112層」に比べて書き込み速度が2.4倍に高まるほか、チップサイズも4割小さくなります。
キオクシアの四日市工場(Googleマップの衛星写真)
「キオクシアホールディングス」の主力工場である「四日市工場」の衛星写真です。敷地の一番北側の赤いピンがある部分に「第7製造棟(Y7棟)」を建設します(Googleマップの衛星写真の3Dモードを引用)。
四日市工場の沿革
1992年に東芝の「四日市工場」として発足しました。1993年に「第1製造棟」が稼働開始しています。2018年には「第6製造棟」が稼働開始しています。2007年9月に竣工した「第四製造棟」以降は、地震応答加速度を低減する「免震構造」を採用しています。「第1製造棟」と「第2製造棟」は現在はありません。
引用資料 キオクシアホールディングス
四日市工場概要
● ウェスタン・デジタルとの協業
東芝の「四日市工場」は、アメリカの「サンディスク」と共同で投資を行っていました。2016年に「サンディスク」が、アメリカの「ウェスタン・デジタル」に買収された後も協業は続いていました。
しかし、「東芝」は経営危機に陥り、メモリ事業の分社・売却に追い込まれました。その際には、東芝とウェスタン・デジタルは、訴訟合戦にまで発展しましたが、和解して元のサヤに収まりました。
「キオクシア」と「ウェスタン・デジタル」の関係は非常にユニークです。半導体の前工程で研究開発や生産を共同で行いますが、後工程と販売はライバル関係になります。
半導体の投資は莫大です。「キオクシア」も「ウェスタン・デジタル」も1社だけでは莫大な投資に耐えられず、NAND型フラッシュメモリーのライバルである韓国の「サムスン電子」や「SKハイニックス」にとても太刀打ち出来ません。
投資を「キオクシア」と「ウェスタン・デジタル」で負担し合うスケールメリットは非常に大きく、 両社はライバルでありながら協業する関係は今後も続くと思います。
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