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2021年8月28日 (土)

電子立国の復活に向けて 総投資額約1兆円 「TSMC(台湾積体電路製造)」と「ソニー」の半導体合弁事業に「デンソー」参加へ!

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-TSMCとソニーの半導体合弁事業-
 衛星写真は、熊本県菊池郡菊陽町大字原水4000-1にあるソニーグループの半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」です(Googleマップの衛星写真の3Dモードを引用)。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」と「ソニーグループ」による半導体合弁事業計画について、「デンソー」が参加する方向で最終調整に入りました。トヨタ自動車グループという一大供給先を確保することにより、経済産業省主導で熊本県に先端工場をつくる日台企業連合の大枠が固まりました。半導体不足に苦しむ自動車産業の協力を取り付けて、経済安全保障にもつながるサプライチェーン強靱化の国家プロジェクトが実現に近付きます。

 引用資料 ニュースイッチ(2021/08/27)
 ソニーとTSMCの半導体合弁計画にデンソー参加へ、トヨタ系の供給先確保

 「ソニーグループ」などは2021年内にも半導体製造の合弁会社を設立する見通です。出資比率は「TSMC」が約50%で、「ソニーグループ」や「デンソー」など日本勢で残りを分担するとみられます。
 ソニーグループ+デンソーは、「(1)技術力が高い、(2)売上規模が大きい、(3)営業利益が高水準、(4)時価総額が大きい、(5)財務体質が強固」など、日本で考えられる最高の組み合わせです。

● 回路線幅10ナノ~20ナノメートル
 工場建設などにかかる総投資額は約1兆円で、その大半は政府が補助金などにより支援する方向で検討します。新工場は2024年までの稼働開始を目指します。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」は、半導体微細化技術で独走しており、世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。

 合弁工場は、イメージセンサーや自動車に使う回路線幅10ナノ~20ナノメートル(ナノは10億分の1)台のロジック半導体などを生産する見込みです。回路線幅10ナノ~20ナノメートルなので、世界最先端の5ナノメートルと比べると線幅は太いです。「なんだ・・・世界最先端じゃなんだ・・・」とガックリ来るかもしれませんが、イメージセンサーや自動車用半導体はそこまでの微細化は必要ありません。

 世界最先端の5ナノメートルは、「アップル」のスマホのCPU、「NVIDIA」のGPU、「AMD」のCPUなどの最先端ロジック半導体向けで、顧客はアメリカのファブレス(工場を持たない会社)の半導体企業です。


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世界最強の半導体メーカーTSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、2021年の設備投資計画を300億米ドル(1$=110円として約3兆3000億円)に設定し、前年実績から大幅に引き上げています。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。

 「TSMC」がいかに凄い会社かというと、2021年8月27日の終値時点での時価総額は614,498,145千ドルです。1$=110円として約67.6兆円です。「トヨタ自動車」は約30.8兆円なのでの約2.2倍です。

 半導体微細化技術で独走しており、世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。2022年には遥かに難度の高い3nmチップの生産に入る予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。

 世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUや「AMD」のCPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。


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SONY(ソニーグループ)
 今更説明も必要ありませんが、AV機器大手です。海外でブランド力絶大です。イメージセンサー、ゲーム、映画・音楽分野などに強みを持っています。

 「CMOSセンサー」をなどのイメージセンサーでは世界一のシェアを誇っています。「イメージセンサー」の生産に合弁工場を活用することが期待出来ます。

● 合弁工場の工場用地を確保?
 ソニーグループの半導体事業会社であるソニーセミコンダクタソリューションズの半導体生産子会社「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」は、「熊本テクノロジーセンター」の南側隣接地に整備中の「第二原水工業団地(仮称)」の用地約21.3haを確保し、年内に売買契約すると報道されています。

ソニーグループの連結決算(売上高/営業利益)
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1998年3月   6,755,490百万円    520,210百万円
1999年3月   6,794,619百万円    338,649百万円
2000年3月   6,686,661百万円    223,204百万円
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2001年3月   7,314,824百万円    225,346百万円
2002年3月   7,578,300百万円    134,600百万円
2003年3月   7,473,600百万円    185,400百万円
2004年3月   7,496,400百万円      89,900百万円
2005年3月   7,159,600百万円    113,900百万円
2006年3月   7,510,600百万円    226,400百万円
2007年3月   8,295,700百万円      71,800百万円
2008年3月   8,871,400百万円    457,300百万円
2009年3月   7,730,000百万円 △227,800百万円
2010年3月   7,213,998百万円     31,772百万円
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2011年3月   7,181,273百万円    199,821百万円
2012年3月   6,492,312百万円   △67,275百万円
2013年3月   6,800,851百万円    230,100百万円
2014年3月   7,767,266百万円      26,495百万円
2015年3月   8,215,800百万円      68,548百万円
2016年3月   8,105,712百万円    294,197百万円
2017年3月   7,603,250百万円    288,702百万円
2018年3月   8,543,982百万円    734,860百万円
2019年3月   8,665,687百万円    894,235百万円
2020年3月   8,259,885百万円    845,459百万円
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2021年3月   8,999,360百万円    971,865百万円

2022年3月期予想 
2022年3月   9,700,000百万円    980,000百万円(会)
2022年3月   9,719,307百万円  1,016,465百万円(コ)

(備考) (会)は会社予想、(コ)はアナリスト予想(コンセンサス)です。


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デンソー(DENSO)

 愛知県刈谷市を本拠におく自動車部品メーカーです。自動車部品で国内最大手で、世界ではドイツの「ボッシュ」に次いで2位です。技術力に定評があります。「トヨタ自動車」の出資比率は24.38%で、トヨタ自動車とは「付かず離れず」の絶妙な関係を維持しています。

 自動車の電動化や自動運転の普及により、半導体の使用量は急増しています。トヨタグループでエレクトロニクス領域の中核を担う「デンソー」にとって、半導体調達網の強靱化は重要テーマです。

● エヌエスアイテクスとミライズ テクノロジーズ
 デンソーは、2017年に車載半導体を開発する100%子会社「エヌエスアイテクス(NSITEXE)」を設立しています。更に、「デンソー(51%)、トヨタ自動車(49%)」は、車載半導体を開発する新会社「ミライズ テクノロジーズ(MIRISE Technologies)」を2020年4月1日に共同設立しています。これらの2社が開発した半導体の作り手として、合弁工場を活用することが期待出来ます。

デンソーの連結決算(売上高/営業利益)
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2000年3月   1,883,407百万円    116,682百万円
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2001年3月   2,014,978百万円    123,526百万円
2002年3月   2,401,098百万円    133,340百万円
2003年3月   2,332,760百万円    159,893百万円
2004年3月   2,562,411百万円    188,659百万円
2005年3月   2,799,949百万円    213,895百万円
2006年3月   3,188,330百万円    266,559百万円
2007年3月   3,609,700百万円    303,068百万円
2008年3月   4,025,076百万円    348,652百万円
2009年3月   3,142,665百万円   △37,309百万円
2010年3月   2,976,709百万円    136,640百万円
-----------------------------------------
2011年3月   3,131,460百万円    188,331百万円
2012年3月   3,154,630百万円    160,732百万円
2013年3月   3,580,923百万円    262,376百万円
2014年3月   4,095,925百万円    377,696百万円
2015年3月   4,309,787百万円    331,376百万円
2016年3月   4,524,522百万円    315,728百万円
2017年3月   4,527,148百万円    330,551百万円
2018年3月   5,108,291百万円    412,676百万円
2019年3月   5,362,772百万円    316,196百万円
2020年3月   5,153,476百万円      61,078百万円
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2021年3月   4,936,725百万円    155,107百万円

2022年3月期予想 
2022年3月   5,540,000百万円    440,000百万円(会)
2022年3月   5,633,490百万円    467,064百万円(コ)

(備考) (会)は会社予想、(コ)はアナリスト予想(コンセンサス)です。



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