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2022年11月14日 (月)

「収益認識に関する会計基準」の適用 百貨店は売上高が半減という衝撃! 全国百貨店売上高ランキングはどうなる?

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-収益認識に関する会計基準-
 百貨店の「決算短信」を見て驚いている方も多いと思います。 売上高が約半分になっているからです。日本の会計基準を国際的な会計基準に合わせる方針から、2021年4月1日以降に開始する事業年度から「収益認識に関する会計基準」が適用されるため、実際には2022年3月期の期首もしくは2023年2月期の期首から売上高が約半分になっています。

 日本の上場企業は、財務において「IFRS(国際会計基準)」もしくは「日本基準」を採用している企業がほとんどです。「米国基準」を採用している企業も一部ありますが、多くはありません。

 「収益認識に関する会計基準」の適用により、「IFRS」と「日本基準」との差異の殆どは解消されることになります。これによって最も影響を受けるのが百貨店です。百貨店によっては売上高が約半分になります。

百貨店は売上高半減という衝撃!
 「委託販売」とは、商品の販売を他の商人に委託して行う販売形態をいい、委託を受けた者が商品を販売することを「受託販売」といいます。百貨店では一般的な商習慣です。

 メーカーから商品を借りてきて店頭に並べて、売れた分だけの代金をメーカーに支払って売れ残った商品は返品するという販売形態です。顧客に販売した時点で売上計上と同時に、メーカーからの仕入計上が行われます。百貨店にとっては在庫のリスクが無いので、多くの百貨店が採用しています。ここでの売上高に「IFRS」と「日本基準」に大きな差がありました。

 一例として、仕入れ価格が70万円の商品を100万円で販売したとします。今までの「日本基準」では、100万円がそのまま売上高となりましたが、「収益認識に関する会計基準」では、100万円-70万円=30万円、つまり30万円が売上高となります。百貨店は、メーカーと顧客の仲介機能であり、百貨店が創出した経済的価値は30万円という考え方が採用されます。

 今までの日本基準 売上高100万円
 収益認識会計基準 売上高30万円(100万円-70万円=30万円)

● 全国百貨店売上高ランキングはどうなる?
 百貨店には2月決算と3月決算の企業があります。そのため「収益認識に関する会計基準」が適用されるのは、2022年3月期の期首もしくは2023年2月期の期首からとなっています。いずれにしても今期からすべての百貨店に適用されています。

 毎年夏に日経MJで「全国百貨店売上高ランキング」が発表されますが、2023年夏の発表分からすべての百貨店に「収益認識に関する会計基準」が適用されます。店舗別の売上高が「収益認識に関する会計基準」が適用された売上高になるのか? 従来通りの売上高になるのか? ちなみに2022年夏の発表分は、適用と不適用が混在していて非常に分かりにくかったです。

● IFRSとは
 「国際財務報告基準(IFRS: International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準です。主要国の多くが、「IFRS」を採用しています。

 日本の上場企業では、「決算短信」を「IFRS」もしくは「日本基準」、一部で「米国基準」発表していますが、まだまだ「日本基準」が多いです。しかし、海外展開に積極的な大企業を中心に「IFRS」への切り替えが進みつつあります。


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収益認識に関する会計基準の影響
 下記の数値は最新の「決算短信」から抽出したものです。「収益認識に関する会計基準」の適用の影響が百貨店では極めて大きい事が分かります。「三越伊勢丹ホールディングス」の例では、2023年3月期連結業績予想は、売上高4,940億円、「収益認識会計基準」を適用しなかった場合は、売上高1兆750億円を予想しています。売上高が半分以下の約46%に減少する事になります。

 「セブン&アイ・ホールディングス」は、 「そごう・西武」を米投資ファンドに売却を発表しましたが、下記の数値にはまだ反映していません。地方スーパーの雄である広島の「イズミ」もかなり影響が大きい事が分かります。

百貨店
◆ 三越伊勢丹ホールディングス
(2023年3月期予想)
 売上高494,000百万円
 当該基準等を適用しなかった場合の売上高は1,075,000百万円

◆ エイチ・ツー・オー リテイリング(2023年3月期予想)
 売上高640,000百万円
 当該基準を適用しなかった場合の売上高は980,000百万円

◆ J.フロント リテイリング(2023年2月期予想)
 売上収益346,000百万円
 総額売上高975,000百万円

◆ 高島屋(2023年2月期予想)
 営業収益439,000百万円
 総額営業収益(これまでの計上方法による営業収益)は860,500百万円

スーパー
セブン&アイ・ホールディングス(2023年2月期予想
 営業収益11,646,000百万円
 総額営業収益(従前の計上方法による営業収益)は12,365,000百万円 

イオン(2023年2月期予想
 営業収益9,000,000百万円
 当該基準等を適用しなかった場合の営業収益予想値は9,200,000百万円

イズミ(2023年2月期予想)
 営業収益454,300百万円
 当該基準等を適用しなかった場合の営業収益は697,100百万円



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