-富岳NEXT-
「理化学研究所」は、運用中のスーパーコンピュータ「富岳」の後継機の開発を開始しました。開発上のコードネームは「富岳NEXT(ネクスト)」で、2030年頃に稼働する計画です。
シミュレーションでの実効性能を5~10倍に高めるほか、活用が急速に進むAI(人工知能)に必要な性能で世界最高水準を目指します。増大する計算資源の需要に応え、科学研究を加速する「AI for Science(フォー・サイエンス)」への活用などを通じ、わが国の科学技術・イノベーションが世界を先導するための計算基盤を目指します。
「理化学研究所」は、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステム「富岳NEXT」について、神戸市中央区港島南町のポートアイランド(第2期用地)にある理研神戸地区隣接地に整備することを決定しました。
引用資料 理化学研究所(2025/03/28)
「富岳NEXT」を理化学研究所 神戸地区隣接地に整備 -計算科学/計算機科学に関する最先端の研究開発拠点の形成-
「富岳NEXT」を設置する建屋を新たに建設する予定です。文部科学省HPCI計画推進委員会「次世代計算基盤に関する報告書 最終取りまとめ」で示された、「京」から「富岳」移行時のようなシステム入れ替えによる「端境期」を極力生じさせないという観点や、既存の「富岳」関連施設を活用するとともに、施設の増強を行うことが、合理的かつ経済的であると判断しました。
● NVIDIAとの国際連携!
「富岳」のCPUは、富士通が開発、TSMCが製造した「A64FX」を搭載しています。しかし、「富岳」後に半導体技術は猛烈に進歩し、「NVIDIA」の最新のGPU「Blackwell」は日本がいくら頑張っても開発が不可能なくらいの超高性能です。国家予算並みの兆単位の研究開発費が投入できる「NVIDIA」には絶対にかないません。
「Blackwell」さえ確保出来れば「スーパーコンピュータ」が開発出来る状態です。自主開発にこだわると莫大な資金を投入してもそこそこの性能の「スーパーコンピュータ」しか開発出来ません。私は「理化学研究所はどうするのか?」と思って見守っていました。
「理化学研究所」は、「富士通、NVIDIA」とともに、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステム(開発コードネーム:「富岳NEXT」)に関して、理研を開発主体とした国際連携により設計および開発を開始することとしました。
理化学研究所(2025/08/22)
理化学研究所、富士通およびNVIDIAとの国際連携による「富岳NEXT」開発体制を始動
日本のフラッグシップシステムとしては初めて「GPU(グラフィック処理装置)」を加速部に採用し、NVIDIAがそのGPU基盤に関する設計を主導します。全体システムおよび計算ノード、CPU(中央演算装置)の基本設計においては、すでに理研とともに検討を進めている「富士通」が推進します。三者は連携して、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の基盤として計算による課題解決を支える「AI-HPCプラットフォーム」の構築を進めます。
「富岳NEXT」のAI向けの計算能力は、設計上の性能(ピーク性能)で1秒当たり10垓(がい、1垓は1兆の1億倍)回の計算処理がこなせる「ゼタ級」の実現を目指します。高度なシミュレーションの計算でも富岳の5〜10倍以上に能力を高めます。
「スーパーコンピュータ」は、GPUやCPUの性能だけでは決まりません。全体のシステム設計も非常に重要です。今回のGPUは「NVIDIA」、全体のシステム設計は「日本」という選択は非常に現実的だと思います。
「理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)」です。
富岳NEXTの整備予定地
敷地南側の更地に新たに建屋を建設する予定です。新たな建屋にスーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる「富岳NEXT」を整備します。
エヌビディア(NVIDIA)
アメリカの半導体大手「エヌビディア(NVIDIA)」の本社所在地は「2788 San Tomas Expressway Santa Clara, CA 95051 USA」です。「シリコンバレー」のど真ん中であるカリフォルニア州サンタクララにあります。「ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港」のすぐ西側です。「アップル」の本社とも比較的近いです。
「エヌビディア」は、1993年4月5日に設立されました。設立から約32年で、「GAFAM」を抜く時価総額世界一を誇る超優良企業に成長しました。2025年9月12日の終値時点での時価総額は4,329,383,540.00千ドルです。1$=147円で計算すると約636兆円です。ちなみに日本の上場企業すべての時価総額を合計しても約1,100兆円です。凄すぎる・・・
「エヌビディア」が得意とする「GPU(Graphics Processing Unit)」は、画像処理に特化した演算装置あるいはプロセッサです。現在は、生成AIのプロセッサとして必需品となっています。
● エヌビディアの連結決算
「楽天証券」は、「エヌビディア」の2026年1月決算の予想をしています。売上高207,000,000千ドル、営業利益123,300,000千ドルです。1$=147円で計算すると、売上高30.4兆円、営業利益18.1兆円です。売上高営業利益率は驚異の59.5%です。
もはやとモンスター級の「NVIDIA」にはライバルがいない状況でが、アメリカの凄い所は、「ブロードコム(Broadcom)」という半導体企業が急速に成長しているところです。2025年9月12日の終値時点での時価総額は1,692,638,101.00千ドルです。1$=147円で計算すると約248兆円です。
エヌビディアの連結決算(売上高/営業利益)
-----------------------------------------
2011年1月 3,543,309千ドル 255,747千ドル
2012年1月 3,997,930千ドル 648,299千ドル
2013年1月 4,280,159千ドル 648,239千ドル
2014年1月 4,130,162千ドル 496,227千ドル
2015年1月 4,681,507千ドル 758,989千ドル
2016年1月 5,010,000千ドル 747,000千ドル
2017年1月 6,910,000千ドル 1,934,000千ドル
2018年1月 9,714,000千ドル 3,210,000千ドル
2019年1月 11,716,000千ドル 3,896,000千ドル
2020年1月 10,918,000千ドル 2,846,000千ドル
-----------------------------------------
2021年1月 16,675,000千ドル 4,532,000千ドル
2022年1月 26,914,000千ドル 10,041,000千ドル
2023年1月 26,974,000千ドル 4,224,000千ドル
2024年1月 60,922,000千ドル 32,972,000千ドル
2025年1月 130,497,000千ドル 81,453,000千ドル
2026年1月予想(楽天証券予想)
2026年1月 207,000,000千ドル 123,300,000千ドル