82 熊本県

2023年5月29日 (月)

ソニーグループ 画像センサーの新工場 熊本県合志市に約27万㎡の土地を取得 投資額は数千億円規模に!

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-ソニーグループの画像センサー用の新工場-
 「ソニーグループ」は2023年5月25日に、熊本県合志市で約27万㎡の土地を取得することを正式に明らかにしました。画像センサー用の新工場を建設します。投資金額は未定としていますが、数千億円規模になる可能性があります。中長期での画像センサー需要の拡大を見据え、生産能力を増強して成長につなげます(Googleマップの衛星写真を引用)。

 ニュースイッチ(日刊工業新聞社) 2023/05/27
 ソニーGが画像センサー新工場、熊本に27万㎡の土地取得へ

 立地は、傘下の半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタソリューションズ」の熊本県菊陽町にある既存の熊本工場や半導体受託製造大手の「TSMC(台湾積体電路製造)」が建設中の新工場に近いです。

● 土地と地下水が足りない!
 「TSMC」が日本で検討している2番目の工場を熊本県菊陽町付近に建設する方向で調整に入ったと報道されています。相次ぐ熊本県進出で、深刻な土地不足で「土地争奪戦」の様相となっています。農地転用と言ってもこのあたりは「優良農地」のため転用が難しいです。他府県から見たらうらやましい悲鳴です。

 相次ぐ熊本県進出の理由に「豊富な地下水」があります。半導体の生産に大量の地下水を使います。「TSMC」の新工場の1日に採取する地下水の量は約1万2千立方メートルと言われています。相次ぐ半導体工場の進出により、「地下水」の確保も今後はネックになると思います。


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2023年3月期の連結業績
 「ソニーグループ」は、2023年4月28日に「2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)」の連結決算を発表しました。売上高11,539,837百万円(前期比16.3%増)、営業利益1,208,206百万円(前期比0.5%増)といずれも過去最高を記録しました。

 ソニーグループ(PDF:2023/04/28)
 2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

● 2024年3月期の連結業績予想
 2024年3月期の連結業績予想(2023年4月1日~2024年3月31日)は、売上高11,500,000百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益1,170,000百万円(前年同期比3.2%減)の業績予想をしています。

ソニーグループの連結決算(売上高/営業利益)
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1998年3月     6,755,490百万円    520,210百万円
1999年3月     6,794,619百万円    338,649百万円
2000年3月     6,686,661百万円    223,204百万円
-----------------------------------------
2001年3月     7,314,824百万円    225,346百万円
2002年3月     7,578,300百万円    134,600百万円
2003年3月     7,473,600百万円    185,400百万円
2004年3月     7,496,400百万円      89,900百万円
2005年3月     7,159,600百万円     113,900百万円
2006年3月     7,510,600百万円     226,400百万円
2007年3月     8,295,700百万円      71,800百万円
2008年3月     8,871,400百万円     457,300百万円
2009年3月     7,730,000百万円  △227,800百万円
2010年3月     7,213,998百万円      31,772百万円
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2011年3月     7,181,273百万円     199,821百万円
2012年3月     6,492,312百万円    △67,275百万円
2013年3月     6,800,851百万円     230,100百万円
2014年3月     7,767,266百万円       26,495百万円
2015年3月     8,215,800百万円       68,548百万円
2016年3月     8,105,712百万円     294,197百万円
2017年3月     7,603,250百万円     288,702百万円
2018年3月     8,543,982百万円     734,860百万円
2019年3月     8,665,687百万円     894,235百万円
2020年3月     8,259,885百万円     845,459百万円
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2021年3月     8,999,360百万円     971,865百万円
2022年3月     9,921,513百万円   1,202,339百万円
2023年3月   11,539,837百万円   1,208,206百万円

2024年3月期予想
2024年3月   11,500,000百万円   1,170,000百万円(会)
2024年3月   11,931,560百万円   1,261,517百万円(コ)

(備考) (会)は会社予想、(コ)はアナリスト予想(コンセンサス)です。コンセンサスは頻繁に変更されます。上記のコンセンサスは2023年5月29日時点の数値です。


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イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)
 「ソニーグループ」は、6分野(ゲーム、音楽、映画、エレクトロニクス、半導体、金融)に分かれています。その中で半導体分野は「イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)」となります。

● 2022年度のイメージセンサーの市場シェアは51%!
 「ソニーグループ」と「サムスン電子」は、イメージセンサーの市場で激しいシェア争いを繰り広げています。2021年度における市場シェアは、金額ベースでソニーグループが45%、サムスン電子が26%でした。

 2022年度のソニーグループの市場シェアは51%に達しています。ソニーグループは、モバイルセンサーの大判化や高画質、高性能のトレンドを牽引しています。スマホ需要減で逆風下のイメージセンサー市場ですが、大判化でソニーグループが独り勝ち状態となりました。更に、2025年度には市場シェア60%まで拡大する計画を掲げています。

 2024年3月期の連結決算では、「イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)」の売上高1,600,000百万円、営業利益200,000百万円を計画しています。計画通りの売上高1兆6000億円を達成すると日本一の半導体メーカーとなります(ルネサスエレクトロニクスは、2023年12月期の売上高1兆5000億円弱を計画)。 

ルネサスエレクトロニクスの連結決算(売上高/営業利益)
-----------------------------------------
2021年12月      994,418百万円    183,601百万円
2022年12月    1,500,853百万円   424,170百万円

ソニー(I&SS)の連結決算(売上高/営業利益)
-----------------------------------------
2022年03月    1,076,400百万円   155,600百万円
2023年03月    1,402,200百万円   212,200百万円

キオクシアホールディングスの連結決算(売上高/営業利益)
-----------------------------------------
2022年03月   1,526,500百万円   216,200百万円
2023年03月   1,282,100百万円  △99,000百万円



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2023年3月17日 (金)

シリコンアイランド九州 熊本県菊池市 「三菱電機」が炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産体制強化に向け新工場棟を建設!

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-三菱電機-
 九州は、1980年代~1990年代前半頃は、アメリカのシリコンバレーにならって「シリコンアイランド九州」と呼ばれていました。しかし、日本の半導体業界の衰退と共に「シリコンアイランド九州」の名称はほとんど使われなくなりました。しかし、「シリコンアイランド九州」の復活が現実味を帯びてきました。

 「三菱電機」は、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の8インチウエハー生産に対応する新工場棟を熊本県菊池市に建設し、2026年4月に稼働します。熊本県合志市のSiC6インチ対応の既存工場も増強します。

 SiCのウエハー枚数ベースの生産能力は2026年度に2022年度比約5倍に増やします。2021年~2025年度のパワー半導体の設備投資計画は従来比2倍の約2,600億円に引き上げ、脱炭素社会に向けた省エネルギーや電動車向けのニーズを取り込みます。

 引用資料 三菱電機(2023/03/14)
 三菱電機 SiCパワー半導体の生産体制強化に向け新工場棟を建設 従来計画から倍増し、2021年度から2025年度でパワーデバイス事業へ2,600億円を投資
 
 新工場棟は液晶モジュールを生産していた拠点の敷地内に建設すします。拠点の既存の2棟も活用します。合志市の6インチ対応の既存工場の能力増強と合わせた投資額は約1,000億円を見込みます。その他に、福岡市西区の拠点は約100億円を投資して後工程の新工場棟を建て、海外も中国安徽省合肥市などの後工程の増強に約200億円を投資します。


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熊本県菊池市泗水町住吉1576番地1の「三菱電機株式会社 液晶事業統括部の事業所」付近の衛星写真です(Googleマップの衛星写真を引用)。


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TSMCとソニーの半導体合弁事業
 「TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、TSMCの半導体受託製造子会社で、TSMCが株式の過半を所有する「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」に対して、デンソーが約3.5億米ドルの少数持分出資を行うことを発表しました。この出資により、デンソーはJASMの10%超の株式を取得します。

 ソニーグループ(2022/02/15)
 デンソーによる、JASMへの少数持分出資について

 新工場は2022年4月21日に着工、2024年末までに生産開始を目指しています。TSMCは市場ニーズに応えるため、既に公表済みの22/28ナノメートルに加えて、12/16ナノメートル FinFETプロセス技術による製造も担えるようJASMの能力を強化し、月間生産能力を55,000枚(300mmウェーハ)に増強する予定です。

● TSMCの第2工場も熊本県に、総投資額は1兆円以上の見通し!
 「TSMC」が日本で検討している2番目の工場を熊本県菊陽町付近に建設する方向で調整に入ったと、2月24日付の「日刊工業新聞」が報じました。総投資額は1兆円以上の見通しだとしています。

 ブルームバーグ(2023/02/24)
 TSMC第2工場も熊本、総投資額は1兆円以上の見通し-報道

 2024年末に稼働する最初の工場と同等規模以上で、5-10ナノメートルの先端プロセスを採用する可能性があると伝えています。稼働開始は2020年代後半になる見込みです。二つの工場で人材や設備を共有できる点を重視しており、2023年内に詳細を決める方針だとしています。



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2023年2月25日 (土)

半導体生産で世界最大手の「TSMC(台湾積体電路製造)」 第2工場も熊本県・菊陽町付近に 総投資額は1兆円以上の見通し!

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-TSMCとソニーの半導体合弁事業-
 「TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、TSMCの半導体受託製造子会社で、TSMCが株式の過半を所有する「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」に対して、デンソーが約3.5億米ドルの少数持分出資を行うことを発表しました。この出資により、デンソーはJASMの10%超の株式を取得します。

 ソニーグループ(2022/02/15)
 デンソーによる、JASMへの少数持分出資について

 新工場は2022年4月21日に着工、2024年末までに生産開始を目指しています。TSMCは市場ニーズに応えるため、既に公表済みの22/28ナノメートルに加えて、12/16ナノメートル FinFETプロセス技術による製造も担えるようJASMの能力を強化し、月間生産能力を55,000枚(300mmウェーハ)に増強する予定です。

● TSMCの第2工場も熊本県に、総投資額は1兆円以上の見通し!
 「TSMC」が日本で検討している2番目の工場を熊本県菊陽町付近に建設する方向で調整に入ったと、2月24日付の「日刊工業新聞」が報じました。総投資額は1兆円以上の見通しだとしています。

 ブルームバーグ(2023/02/24)
 TSMC第2工場も熊本、総投資額は1兆円以上の見通し-報道

 2024年末に稼働する最初の工場と同等規模以上で、5-10ナノメートルの先端プロセスを採用する可能性があると伝えています。稼働開始は2020年代後半になる見込みです。二つの工場で人材や設備を共有できる点を重視しており、2023年内に詳細を決める方針だとしています。

 ちなみに総投資額1兆円以上のほとんどは、「半導体製造装置」の導入に費やします。半導体工場の投資が莫大なのは、「半導体製造装置」が非常に高価なためです。オランダ「ASMLホールディング」の最先端の「EUV露光装置」は、1台が240億円以上だと言われています。


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熊本県菊池郡菊陽町付近の衛星写真です。周辺には田畑や森林があるので用地取得は問題無いと思います(Googleマップの衛星写真を引用)。


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近くには「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」があります(写真提供@祥明氏)。


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近くには「東京エレクトロン九州 合志事業所」があります。「開発棟」を建設することを発表しています(写真提供@祥明氏)。


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世界最強の半導体メーカーTSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。
 
 半導体微細化技術で独走しており、5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。世界最先端の3ナノメートル(nm)プロセスチップの生産も2022年末から開始しています。

 スーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUや「AMD」のCPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。

● TSMCの2022年12月期の連結決算
 2022年12月期連結決算では、売上高2,263.891百万台湾ドル(前年比42.6%増)、営業利益1,121,279百万台湾ドル(前年比72.5%増)でした。営業利益率は驚異的な49.5%です。

 2023年2月25日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.45円で計算すると、売上高約10兆700億円、営業利益約4兆9000億円となります。日本の企業と比較すると売上高がSONYとほぼ同じで、営業利益がSONYの約5倍です。

TSMCの連結決算(売上高/営業利益)
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2019年12月   1,069,985百万台湾ドル     372,701百万台湾ドル
2020年12月   1,339,255百万台湾ドル     566,784百万台湾ドル
2021年12月   1,587,415百万台湾ドル     649,981百万台湾ドル
2022年12月   2,263.891百万台湾ドル  1,121,279百万台湾ドル

(備考) 単位は台湾ドルです。2023年2月25日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.45円となっています。



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2022年12月 4日 (日)

熊本国際空港 空港アクセス鉄道のルート検討 「TSMC」の進出により状況が一変 「肥後大津ルート」に決定!

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-熊本空港アクセス鉄道-

 「熊本国際空港」は、熊本県益城町にある「阿蘇くまもと空港」で、新旅客ターミナルビルの建設を計画しています。「熊本空港特定運営事業等」の関連プロジェクトです。

 空港のコンセッションを巡っては、国土交通省が「三井不動産」を代表とするコンソーシアムを事業者に選定しています。コンソーシアムが設立した熊本国際空港による空港運営が2020年4月1日に始まっています。

 「熊本国際空港株式会社」は、「阿蘇くまもと空港」において、2021年1月15日に、新旅客ターミナルビルの起工式を執り行いました。設計は「日建設計・梓設計JV」、施工は「大成建設」で、2023年3月23日供用開始を予定しています。

 「熊本空港アクセス鉄道」は、JR豊肥線三里木駅~熊本空港を結ぶ鉄道新線計画です。2023年3月23日供用開始予定の熊本空港新ターミナルビルの建設を前に、熊本県が実現に向け調査を進めてきました。熊本県知事は、2018年12月の県議会本会議で鉄道建設を進めることを表明し、2019年2月にJR九州と基本合意しました。

 「空港アクセス検討委員会」は2022年11月9日に、JR豊肥本線の熊本空港(益城町)への分岐・延伸について、熊本県が検討しているルート3案のうち肥後大津駅から分岐する「肥後大津ルート」が妥当とする結論をまとめました。熊本県では今後、JR九州と費用負担などを協議し、できるだけ早くルートを決めたいとしています。

 引用資料 熊本県・公式HP(2022/11/09)
 第5回空港アクセス検討委員会の開催について

● 肥後大津ルートに決定!
 「熊本県」の12月定例議会が2022年12月2日開会し、蒲島知事は、JR豊肥本線と熊本空港を結ぶ「空港アクセス鉄道」の整備ルートについて「肥後大津ルート」に決定したことを明らかにしました。

 NHK NEWS(2022/12/02)
 空港アクセス鉄道は肥後大津ルートに決定 蒲島知事が明らかに

 台湾の半導体大手、TSMCの進出に伴って再検討されることになった空港アクセス鉄道をめぐっては、有識者で作る検討委員会が大津町の「肥後大津駅」から分岐する「肥後大津ルート」が最も事業費が低く、豊肥本線との接続が唯一、直通で妥当だとする意見をとりまとめています。またJR九州も「肥後大津ルート」について熊本県の判断を尊重しながら具体的な検討を進める考えを示していました。


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「空港アクセス鉄道 3ルート概要図(ルート帯)」です。

● 三里木ルートから大きく変化!
 当初は「三里木ルート」で計画されていましたが、台湾の世界最大手半導体企業「TSMC」が、菊陽町(セミコンテクノパーク隣接)に進出することが決定したことにより状況が一変しました。「原水ルート」と「肥後大津ルート」についても調査を実施し、より効率的で効果の高いルートについて、比較検討を実施する事になりました。


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「阿蘇くまもと空港周辺における人口変動と企業立地状況」です。


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「ルートの追加検討に係る中間的な調査概要」です。



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2022年11月24日 (木)

設備投資額1兆円超 「TSMC(台湾積体電路製造)」が菊陽町(熊本県)に半導体生産の新工場を建設 2022年11月下旬の建設状況

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-JASMが完成予想図公表-
 世の中は何が起こるか分かりません。ワールドカップで日本代表がドイツ代表と対戦し、2-1で勝利しました。私が生きている間にドイツ代表に日本代表が勝つ日がやって来るとは夢にも思っていませんでした。本当にうれしいです!

 本題に戻って、経済産業相は2022年10月16日に、「TSMC(台湾積体電路製造)」の子会社である「JASM」が半導体の新工場を建設している熊本県菊陽町の現地を視察しました。熊本県知事や熊本県内の教育機関とも意見交換し、課題となっている半導体専門人材の育成を支援する考えを示しました。

 引用資料 熊本日日新聞(2022/10/16)
 「半導体人材育成を支援」 西村経産相、TSMC新工場建設地(熊本県菊陽町)視察 JASMが完成予想図公表

 「TSMC」の新工場は2022年4月21日に着工、2023年後半の完成を目指しています。「JASM」の堀田祐一社長は完成予想図のパネルなどを使いながら「通常は2、3年かかる工事を1年半で終える計画だが、順調に進んでいる」と説明しました。


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「TSMC(台湾積体電路製造)」の新工場の2022年11月下旬の建設状況です。クレーンが林立しています。建屋の建設も始まっています(写真提供@祥明氏)。


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すぐ北側に「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」があります(写真提供@祥明氏)。


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近くに「東京エレクトロン九州 合志事業所」があります。「開発棟」を建設することを発表しています(写真提供@祥明氏)。


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近くに「熊本県立技術短期大学」があります(写真提供@祥明氏)。


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TSMCとソニーの半導体合弁事業
 衛星写真は、熊本県菊池郡菊陽町大字原水4000-1にあるソニーグループの半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」です(Googleマップの衛星写真を引用)。

 「TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、TSMCの半導体受託製造子会社で、TSMCが株式の過半を所有する「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」に対して、デンソーが約3.5億米ドルの少数持分出資を行うことを発表しました。この出資により、デンソーはJASMの10%超の株式を取得します。

 ソニーグループ(2022/02/15)
 デンソーによる、JASMへの少数持分出資について

 JASMのファウンドリは、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指します。また、TSMCは市場ニーズに応えるため、既に公表済みの22/28ナノメートルに加えて、12/16ナノメートル FinFETプロセス技術による製造も担えるようJASMの能力を強化し、月間生産能力を55,000枚(300mmウェーハ)に増強する予定です。

 今回の生産能力増強に伴い、このファウンドリへの設備投資額は、約86億米ドル(約9,800億円/1ドル=114円で計算)となる見込みで、日本政府からの強力な支援を受ける前提で検討しています。このファウンドリでは、約1,700名の先端技術に通じた人材の雇用創出を見込みます。

● 1ドル=140円で計算すると
 このニュースが発表された2022年2月15日の時点では、1米ドル=114円でしたが、その後急速な円安となり、2022年11月24日朝の時点では、1米ドル=140円となっています。1米ドル=140円で計算すると約86億米ドルは、約1兆2040億円になります。


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世界最強の半導体メーカーTSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、2022年の設備投資計画を360億米ドル(1$=149円として約5兆3600億円)を想定しており過去最高額になります。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。
 
 半導体微細化技術で独走しており、5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。世界最先端の3ナノメートル(nm)プロセスチップの生産も2022年末から開始する予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。

 スーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUや「AMD」のCPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。

● TSMCの2022年12月期の連結決算予想
 2022年12月期連結決算では、売上高 2,277.800百万台湾ドル(前年比43.5%増)、営業利益1,116,000百万台湾ドル(前年比71.7%増)の予想をしています。営業利益率は驚異的な49.0%です。

 2022年11月24日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.48円で計算すると、売上高約10兆2000億円、営業利益約5兆億円となります。日本の企業と比較すると売上高がSONYとほぼ同じで、営業利益がSONYの約5倍です。

TSMCの連結決算(売上高/営業利益)
-----------------------------------------
2019年12月   1,069,985百万台湾ドル     372,701百万台湾ドル
2020年12月   1,339,255百万台湾ドル     566,784百万台湾ドル
2021年12月   1,587,415百万台湾ドル     649,981百万台湾ドル
2022年12月   2,277.800百万台湾ドル  1,116,000百万台湾ドル

(備考) 単位は台湾ドルです。2022年11月24日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.48円となっています。



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2022年11月12日 (土)

熊本国際空港 空港アクセス鉄道のルート検討 「TSMC」の進出により状況が一変 「肥後大津ルート」が妥当!

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-熊本空港アクセス鉄道-

 「熊本国際空港」は、熊本県益城町にある「阿蘇くまもと空港」で、新旅客ターミナルビルの建設を計画しています。「熊本空港特定運営事業等」の関連プロジェクトです。

 空港のコンセッションを巡っては、国土交通省が「三井不動産」を代表とするコンソーシアムを事業者に選定しています。コンソーシアムが設立した熊本国際空港による空港運営が2020年4月1日に始まっています。

 「熊本国際空港株式会社」は、「阿蘇くまもと空港」において、2021年1月15日に、新旅客ターミナルビルの起工式を執り行いました。設計は「日建設計・梓設計JV」、施工は「大成建設」で、2023年3月23日供用開始を予定しています。

 「熊本空港アクセス鉄道」は、JR豊肥線三里木駅~熊本空港を結ぶ鉄道新線計画です。2023年3月23日供用開始予定の熊本空港新ターミナルビルの建設を前に、熊本県が実現に向け調査を進めてきました。熊本県知事は、2018年12月の県議会本会議で鉄道建設を進めることを表明し、2019年2月にJR九州と基本合意しました。

 その後、新型コロナウイルスの感染拡大により、熊本空港の利用者を押し上げてきたインバウンドが消滅したため、今後の空港利用者数がどの程度になるのか、不透明になりました。熊本県知事は、「いったん立ち止まり、さらに議論を深める」と述べ、事業化について再検討する考えを表明しています。

● 肥後大津ルートが妥当!
 「空港アクセス検討委員会」は2022年11月9日に、JR豊肥本線の熊本空港(益城町)への分岐・延伸について、熊本県が検討しているルート3案のうち肥後大津駅から分岐する「肥後大津ルート」が妥当とする結論をまとめました。熊本県では今後、JR九州と費用負担などを協議し、できるだけ早くルートを決めたいとしています。

 引用資料 熊本県・公式HP(2022/11/09)
 第5回空港アクセス検討委員会の開催について

 日刊建設工業新聞(2022/11/11)
 熊本県/空港アクセス検討委「肥後大津ルート」妥当、JR九州と費用負担など協議へ

 検討委員会では「肥後大津ルート」を妥当とした理由として3案のうち唯一豊肥本線からの直通運行が可能で、阿蘇方面の観光振興が期待でき、概算事業費が最も安いことなどが挙げられました。


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「空港アクセス鉄道 3ルート概要図(ルート帯)」です。

● 三里木ルートから大きく変化!
 当初は「三里木ルート」で計画されていましたが、台湾の世界最大手半導体企業「TSMC」が、菊陽町(セミコンテクノパーク隣接)に進出することが決定したことにより状況が一変しました。「原水ルート」と「肥後大津ルート」についても調査を実施し、より効率的で効果の高いルートについて、比較検討を実施する事になりました。


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「阿蘇くまもと空港周辺における人口変動と企業立地状況」です。


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「ルートの追加検討に係る中間的な調査概要」です。



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2022年10月18日 (火)

設備投資額1兆円超 「TSMC(台湾積体電路製造)」が菊陽町(熊本県)に半導体生産の新工場を建設 「JASM」が完成予想図を公表!

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-JASMが完成予想図公表-
 経済産業相は2022年10月16日に、「TSMC(台湾積体電路製造)」の子会社である「JASM」が半導体の新工場を建設している熊本県菊陽町の現地を視察しました。熊本県知事や熊本県内の教育機関とも意見交換し、課題となっている半導体専門人材の育成を支援する考えを示しました。また、「JASM」は新工場の完成予想図を初めて公表しました。

 引用資料 熊本日日新聞(2022/10/16)
 「半導体人材育成を支援」 西村経産相、TSMC新工場建設地(熊本県菊陽町)視察 JASMが完成予想図公表

 「TSMC」の新工場は2022年4月21日に着工、2023年後半の完成を目指しています。「JASM」の堀田祐一社長は完成予想図のパネルなどを使いながら「通常は2、3年かかる工事を1年半で終える計画だが、順調に進んでいる」と説明しました。広報担当者によると、基礎工事を終え構造工事に入った段階ということです。


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TSMCとソニーの半導体合弁事業
 衛星写真は、熊本県菊池郡菊陽町大字原水4000-1にあるソニーグループの半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」です(Googleマップの衛星写真を引用)。

 「TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、TSMCの半導体受託製造子会社で、TSMCが株式の過半を所有する「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」に対して、デンソーが約3.5億米ドルの少数持分出資を行うことを発表しました。この出資により、デンソーはJASMの10%超の株式を取得します。

 ソニーグループ(2022/02/15)
 デンソーによる、JASMへの少数持分出資について

 JASMのファウンドリは、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指します。また、TSMCは市場ニーズに応えるため、既に公表済みの22/28ナノメートルに加えて、12/16ナノメートル FinFETプロセス技術による製造も担えるようJASMの能力を強化し、月間生産能力を55,000枚(300mmウェーハ)に増強する予定です。

 今回の生産能力増強に伴い、このファウンドリへの設備投資額は、約86億米ドル(約9,800億円/1ドル=114円で計算)となる見込みで、日本政府からの強力な支援を受ける前提で検討しています。このファウンドリでは、約1,700名の先端技術に通じた人材の雇用創出を見込みます。

● 1ドル=149円で計算すると
 このニュースが発表された2022年2月15日の時点では、1米ドル=114円でしたが、その後急速な円安となり、2022年10月18日朝の時点では、1米ドル=149円となっています。1米ドル=149円で計算すると約86億米ドルは、約1兆2800億円になります。


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世界最強の半導体メーカーTSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、2022年の設備投資計画を360億米ドル(1$=149円として約5兆3600億円)を想定しており過去最高額になります。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。
 
 半導体微細化技術で独走しており、5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。世界最先端の3ナノメートル(nm)プロセスチップの生産も2022年末から開始する予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。

 スーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUや「AMD」のCPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。

● TSMCの2022年12月期の連結決算予想
 2022年12月期連結決算では、売上高 2,277.800百万台湾ドル(前年比43.5%増)、営業利益1,116,000百万台湾ドル(前年比71.7%増)の予想をしています。営業利益率は驚異的な49.0%です。

 2022年10月18日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.66円で計算すると、売上高約10兆6100億円、営業利益約5兆2000億円となります。日本の企業と比較すると売上高がSONYとほぼ同じで、営業利益がSONYの約5倍です。

TSMCの連結決算(売上高/営業利益)
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2019年12月   1,069,985百万台湾ドル     372,701百万台湾ドル
2020年12月   1,339,255百万台湾ドル     566,784百万台湾ドル
2021年12月   1,587,415百万台湾ドル     649,981百万台湾ドル
2022年12月   2,277.800百万台湾ドル  1,116,000百万台湾ドル

(備考) 単位は台湾ドルです。2022年10月18日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.66円となっています。



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2022年4月 3日 (日)

半導体関連企業が集積する「熊本県」 東京エレクトロンが「東京エレクトロン九州 合志事業所」に約300億円投じて開発棟を建設!

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 -シリコンアイランド-
 
九州は、半導体製造に必要な良質な水が豊富、労働力や広い用地の確保が容易、各県に空港が整備されて製品の空輸が可能な事などの好条件が揃っており、1960年代末から半導体工場や半導体装置メーカーや半導体材料メーカーが多く進出しました。そのため、1980年代に「シリコンアイランド」と呼ばれるようになりました。しかし日本の半導体産業が衰退したためかつての勢いがありません。

 しかし、再び「シリコンアイランド」に半導体関連企業が集積しつつあります。「TSMC(台湾積体電路製造)、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、熊本県菊池郡菊陽町に半導体生産の新工場を建設します。設備投資額は、約86億米ドル(約9,800億円/1ドル=114円で計算)となる見込みで、熊本県内への誘致企業の投資額としては過去最大規模となります。

東京エレクトロン九州 新棟建設!
 「東京エレクトロン」 は、昨今の半導体市場の需要拡大に対応するため、製造子会社である熊本県の「東京エレクトロン九州 合志事業所」 に開発棟を建設することを発表しました。

 引用資料 東京エレクトロン(2022/03/31)
 東京エレクトロン九州 新棟建設のお知らせ

 「東京エレクトロン九州 合志事業所」は、「TSMC(台湾積体電路製造)」が建設予定の新工場のすぐ西側に立地しています。新しい開発棟は東京エレクトロン九州が、現在駐車場として使用している北東側に建設されます。

 今後、社会のデジタル化を背景に半導体市場はさらなる拡大が予想されます。東京エレクトロン九州が開発・製造している製品群は、パターニング技術の進化とともに技術革新が続き、今後も大きな成長が見込まれています。

 新開発棟の建築により、拡大する市場と多様化する技術ニーズを見据え多くの開発案件に対応し、製品をタイムリーに提供することで、中長期における持続的な成長と社会の発展に貢献します。新開発棟は2023年春の着工、2024年秋の竣工を予定しています。

東京エレクトロン九州 新棟の概要
◆ 所在地-熊本県合志市福原1-1
◆ 階数-地上3階(一部4階)
◆ 延床面積-約24,200㎡(予定) *付帯設備エリア除く
◆ 構造-鉄骨造
◆ 地震対策-全免震構造
◆ 用途-コータ・デベロッパ、サーフェスプレパレーションなど半導体製造装置の開発
◆ 着工-2023年春予定
◆ 竣工-2024年秋予定
◆ 建設費用-約300億円


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新棟完成予想図 (正面図)

 新しい施設では、「コータ・デベロッパ」と呼ばれる微細化に欠かせない製造装置の次世代技術などを開発します。

● コータ・デベロッパとは
 「コータ・デベロッパ」は、感光剤の塗布と現像を行う装置です。ウェーハ上にフォトレジストを塗布した後、露光装置により微細な回路パターンが転写され作られます。

 コータ・デベロッパは、「東京エレクトロン」が世界シェア約9割を占め、残りのシェアは「セメス(韓国サムスン電子の子会社)」、「SCREENホールディングス(本社・京都市)」などが確保しています。


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東京エレクトロン
 「東京エレクトロン」は、1963年11月に「東京放送(現:TBSホールディングス)」の出資により、「東京エレクトロン研究所」として設立されました。1978年10月には「東京エレクトロン」に社名変更しています。

 「東京エレクトロン」の本社は、「赤坂Bizタワー」にあります。なぜ「赤坂Bizタワー」にあるかというと「TBSホールディングス」と「東京エレクトロン」は親子関係にあるためです。現在は関係が薄れていますが、現在でも「TBSホールディングス」は、「東京エレクトロン」の株式の5%弱を保有しています。

● 世界4位の半導体製造装置メーカー
 半導体業界は空前の好景気となっています。5Gスマホ、高性能パソコン、高性能サーバー向けの先端半導体から、自動車、家電、産業機器向けの汎用半導体まで、半導体不足が起きています。そのため半導体製造装置メーカーも業績が絶好調です。

 「東京エレクトロン」は、世界4位の半導体製造装置メーカーです。1位は「アプライド・マテリアルズ(アメリカ)」、2位は「ASMLホールディング(オランダ)」、3位は「ラムリサーチ(アメリカ)」です。

東京エレクトロンの連結決算(売上高/営業利益)
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2007年3月     851,975百万円   143,978百万円
2008年3月     906,091百万円   168,498百万円
2009年3月     508,082 百万円    14,710百万円
2010年3月     418,636百万円    △2,180百万円
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2011年3月     668,722百万円     97,870百万円
2012年3月     633,091百万円     60,443百万円
2013年3月     497,299百万円     12,548百万円
2014年3月     612,170百万円     32,204百万円
2015年3月     613,124百万円     88,113百万円
2016年3月     663,948百万円   116,788百万円
2017年3月     799,719百万円   155,697百万円
2018年3月  1,130,728百万円   281,172百万円
2019年3月  1,278,240百万円   310,571百万円
2020年3月  1,127,286百万円   237,292百万円
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2021年3月  1,399,102百万円   320,685百万円

2022年3月期予想
2022年3月  1,950,000百万円   570,000百万円

(備考) 2022年3月期の連結業績予想(2021年4月1日~2022年3月31日)は、売上高1兆9500億円(前期比+39.4%)、営業利益5700億円(前期比+77.7%)を予想しています。過去の業績を見るとシリコンサイクルで好不況が周期的にやってくるため業績の振れが非常に激しいです。



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2022年2月16日 (水)

「TSMC(台湾積体電路製造)」が菊陽町(熊本県)に半導体生産の新工場を建設 設備投資額を約1,800億円上乗せして約9,800億円に!

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-TSMCとソニーの半導体合弁事業-
 衛星写真は、熊本県菊池郡菊陽町大字原水4000-1にあるソニーグループの半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の「熊本テクノロジーセンター」です(Googleマップの衛星写真を引用)。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」と「ソニーグループ」は2021年11月9日に、熊本県菊池郡菊陽町に半導体生産の新工場を建設すると正式に発表しました。初期投資額は約8,000億円で、熊本県内への誘致企業の投資額としては過去最大規模となります。

 新工場では、回路線幅22~28ナノメートル(ナノは10億分の1)のロジック半導体を生産します。月間生産能力は300ミリウエハー換算で45,000枚を予定しています。ソニーのイメージセンサー向けのほか、自動車向けに供給することを想定しています。約1,500人の新規雇用を見込みます。

● 投資額が9800億円に増額、デンソーも出資!
 「TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー」は、TSMCの半導体受託製造子会社で、TSMCが株式の過半を所有する「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」に対して、デンソーが約3.5億米ドルの少数持分出資を行うことを発表しました。この出資により、デンソーはJASMの10%超の株式を取得します。

 ソニーグループ(2022/02/15)
 デンソーによる、JASMへの少数持分出資について

 JASMのファウンドリは、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指します。また、TSMCは市場ニーズに応えるため、既に公表済みの22/28ナノメートルに加えて、12/16ナノメートル FinFETプロセス技術による製造も担えるようJASMの能力を強化し、月間生産能力を55,000枚(300mmウェーハ)に増強する予定です。

 今回の生産能力増強に伴い、このファウンドリへの設備投資額は、約86億米ドル(約9,800億円/1ドル=114円で計算)となる見込みで、日本政府からの強力な支援を受ける前提で検討しています。このファウンドリでは、約1,700名の先端技術に通じた人材の雇用創出を見込みます。


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TSMC進出予定地

 新工場は、ソニーグループの半導体事業会社である「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」のイメージセンサー工場に隣接する「第二原水工業団地(約21.3ha)」に建設します。「第二原水工業団地」は、ソニーが菊陽町の用地取得を前提に、2021年8月末に「鹿島建設」の施工で造成工事に着手しています。

 引用資料 熊本日日新聞(2022/02/15)
 TSMC菊陽工場、投資額9800億円に 高性能の半導体製造へ デンソー出資は400億円


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世界最強の半導体メーカーTSMC

 半導体生産で世界最大手の台湾の「TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)」は、2022年の設備投資計画を440億米ドル(1$=115円として約5兆600億円)を想定しています。
 2021年比で約4割強増え、過去最高額になります。現在の最先端品より、さらに2世代先の技術となる「2ナノメートル」の新工場を2022年内に台湾で着工するなど、競争優位性を一段と引き上げる狙いです。

 「TSMC(台湾積体電路製造)」は、1987年にアメリカの「テキサス・インスツルメンツ」の上級副社長だった「モリス・チャン」が台湾で創業しました。半導体製造に特化した「ファウンドリ」で、ファウンドリ市場シェアは世界の半分以上を確保しています。
 
 半導体微細化技術で独走しており、世界最先端の5ナノメートル(nm)プロセスチップの生産を本格化しています。2022年下半期からは遥かに難度の高い3nmチップの生産を世界で初めて開始する予定です。半導体の盟主だった「インテル」は、7nmチップの製造プロセスの開発が大幅に遅延しており、「TSMC」との技術格差は開くばかりです。

 世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」のCPUである富士通の「A64FX」、アップルが自社開発した高性能CPU、世界を席巻している「NVIDIA」のGPUや「AMD」のCPUの製造は、「TSMC」が行っています。今や「TSMC」は世界で最も必要とされている会社と言っても過言ではありません。

● TSMCの2021年12月期の連結決算
 2021年12月期連結決算では、売上高1,587,415百万台湾ドル(前年比18.5%増)、営業利益649,981百万台湾ドル(前年比14.7%増)となりました。2022年2月16日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.15円で計算すると、売上高約6兆6000億円、営業利益約2兆7000億円となります。

 2022年は半導体不足による単価上昇が見込まれ、2022年12月期連結決算では、日本円で売上高8兆6000億円程度、営業利益3兆7000億円程度になると予想されています。

TSMCの連結決算(売上高/営業利益)
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2019年12月   1,069,985百万台湾ドル   372,701百万台湾ドル
2020年12月   1,339,255百万台湾ドル   566,784百万台湾ドル
2021年12月   1,587,415百万台湾ドル   649,981百万台湾ドル

(備考) 単位は台湾ドルです。2022年2月16日朝時点での為替レートで、1台湾ドル=4.15円となっています。



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2021年12月 3日 (金)

カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント 最上階にロウリュサウナを導入「カンデオホテルズ熊本新市街」 2022年6月開業!

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-カンデオホテルズ熊本新市街-

 「カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント」は、合同会社TLS4による「熊本新市街ホテル・店舗複合開発 新築計画」において、「東急リバブル」がプロジェクトマネジメントを推進する複合施設(地上12階)に核テナントとして「カンデオホテルズ熊本新市街」を2022年6月に開業します。

 引用資料 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(2021/11/22)
 2022年6月開業予定「カンデオホテルズ熊本新市街」最上階の露天風呂「スカイスパ」にカンデオホテルズ初の男女共通スペックのロウリュサウナを導入

 「カンデオホテルズ熊本新市街」の開業に向け、最上階のスカイスパ・サウナに、ロウリュサウナを設置することを決定しました。男性サウナ、女性サウナの両方をロウリュサウナとするのは、カンデオホテルズとして初めての取り組みです。「ロウリュ」とは、熱せられた石に水をかけ、発生した蒸気の波を指します。

 サウナー(サウナ愛好家)の間で西の聖地とも呼ばれる熊本市は、政令市では日本で唯一水道水に100%地下水が使用され、その品質はミネラルウォーターに匹敵すると言われています。熊本市が誇る名水を贅沢に使用した水風呂は常時17.5度に設定し、サウナ室を出てすぐの展望露天スペースに設置しています。

カンデオホテルズ熊本新市街の概要
◆ 所在地-熊本県熊本市中央区
◆ 階数-地上12階、地下0階
◆ 延床面積-12,024.13㎡
◆ 用途-ホテル「<12階>フロント、ロビー、レストラン、スカイスパ(露天風呂、内湯、サウナ)露天付客室(2室)、<3階~11階>客室
◆ 客室数-380室
◆ 建築主-合同会社TLS4
◆ 開業日-2022年06月予定


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「露天風呂・水風呂イメージ」です。


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「ロウリュサウナイメージ」です。


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「iki社 サウナストーブ」です。



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